猫にごはん

 

 

 

 

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2007年6月 アーカイブ

2007年6月 3日

マラソンと日の丸

今年もまたマラソンの日がやってきた。一年は早いものだ。昨年は友達が4人出場したが、今年もまた2人も出場する。もちろん私は走ったりはしないが、沿道で応援するのもとても楽しみなのだ。
10周年になるサンディエゴロックンロールマラソン(San Diego Rock'n'Roll Marathon)はその名の通り、地元のバンドがポイントごとにロックンロールを大音量で演奏し、エルビスプレスリーの仮装ランナーが大勢参加するマラソン大会なのだ。ダウンタウンからスタートし、ハイウェイの上を走り、海沿いを走り、ミリタリーの基地にゴールする、たいへんサンディエゴらしいコースは去年と一緒だ。ハイウェイの電光掲示板には数日前から、マラソンのため閉鎖のお知らせが表示されていた。それをみて、もうすぐ友人たちがこの上を走るのかと思うと、出場もしないというのに何日も前から早くも感動的な気分に浸る私。
エルビス軍団はとても目立つ。 → 猫にごはん

前回沿道で応援してみて分かったのだが、もうすぐ友人がこのポイントを通過するはずだと分かっていながらも、あまりに大勢走っているので、案外見つけられないということが盲点だった。向こうから声をかけてもらわなければ、そのまま気づかずに通り過ぎてしまうところだったのだ。その失敗をふまえ、今年はちゃんと準備したのだ。
手作り日の丸。 → 猫にごはん

応援する側も目立たなければ、通過点で友人と会うのは難しい。メキシコの国旗やカナダの国旗などは、よく見かけるが、日の丸はそうはいない。しかも、プリンターで赤丸をがーっと印刷して、手作りも簡単にできることが良いではないか。
そして面白かったのが、沿道で日の丸を振っていると、声をかけてくる人がそれは多いことだ。旗を見つけるなり、近寄ってきて「コニチハー」「オゲンキデスカ」「ガンバッテ」などと知っている日本語で話し掛けてくる陽気なアメリカ人ランナーたち。応援しているこちらのほうが、がんばってと声をかけられてしまったよ。
「コイビトにアゲタイデス」と、一旦通り越したのにわざわざ引き返して旗を欲しがるランナーもいたので、結局手作り国旗は2本も人にあげてしまった。本当に彼は恋人にあの旗をあげたのだろうか。日の丸をもらった日本人の彼女は、さぞかしびっくりしたことだろう。想像して笑ってしまった。
手作りポスターで応援する人が多い。→猫にごはん

友達2人(マルコさんとトム)は2人とも見事4時間台で完走した。それはすばらしい計画通りのペース配分で走ってくれたため、3箇所の通過ポイントで待ち時間なしに2人に会うことができ、応援も充実できた。よくがんばったねぇ。おつかれさまでした。こちらもとても楽しかった。
疲れて歩くエルビス。 → 猫にごはん

ところでマラソンの前日は、これまた昨年同様我が家でカーボロードパーティー(パスタ祭り)を開催した。前の日に炭水化物をたくさん摂ることで持久力の持続に役立つのだ。というわけで、山盛りのスパゲティを、走りもしない私たちまで大量摂取。5人で1300グラムも完食したのだ。一人平均260グラム。日本の上品なレストランでは、一人前のパスタは80グラム程度だということを考えれば、すごい量だ。おかげで、このエントリーを書いている24時間後の今でもお腹がいっぱい状態の私。あぁぁ、このカーボを早く私も何かで消費しなければー。
盲目のランナーも見事ゴールイン。 → 猫にごはん

2007年6月 7日

右利きの猫

ここ数日の間に、ソフィーには新しい特技がひとつできた。
そこは誰もいないはずの台所。ぎぎっ、ぎぎーっと戸棚を開ける不審な音がする。見るとソフィーが、さも用事有りげに戸棚を開けているではないか。なぜある日突然できるようになったのだろう。今まで密かに練習でもしていたのか。うちの台所の扉はけっこう重いのに、がんばって開けられるようになった。
けっこう得意げ。 → 猫にごはん

ソフィーはもともと器用なので、網戸を引いて開けることもできるのだ。網戸はしかし、ベランダに出るとき(左開き)は開けられず、ベランダから戻ってくるとき(右開き)にだけ開けられる。すなわち、右前足のほうがより器用に使えるということだ。右利きの猫。台所の戸棚も当然開けるられるのは右側だけだ。
以来、朝起きると、右開きの扉だけが、猫の隙間ほど開けっ放しになっている。
点検完了。 → 猫にごはん

昨晩のこと、どこかからか、か細い猫の鳴き声がする。遠くから聞こえるので、外にでも猫がいるのかときょろきょろしたが、どうも見当たらない。ベランダ側にも玄関側にも猫の姿はない。そのうち気がついた。はっ、そういえばソフィーの姿をしばらく見ていないではないか。
台所に行くと、哀れな声は少し大きくなった。戸棚をいろいろ開けてみると、おぉ、茶色い塊が飛び出してきた。なんといつの間にか閉じ込められていたのだ。ソフィーが扉を開けて中に入っていたのが、何かのひょうしで扉が閉まってしまったのだろう。重い扉だから、自然に閉まることはめったにないのにね。真っ暗な中で何分くらい閉じ込められていたのか。まぶしそうに目を瞬かせている。
これに懲りて、勝手に戸棚の中に入らないようにしましょうね。

これは人間が開けっ放しにした戸棚。気がつくと猫2匹入りに。人間も、開けたらちゃんと閉めましょうね。
あたしが開けたんじゃないわよ。 → 猫にごはん

2007年6月10日

食べ物いろいろ

昼過ぎに思い立って、メキシコでお昼ご飯を食べることにした。タコスがとにかく好きなので、ティファナへ行くといつも牛肉のタコス(カルネアサダ)と豚肉のタコス(パストール)ばかり食べてお腹がいっぱいになってしまう。たまには違うものを食べてみよう。
というわけで、私が頼んだのは牛肉ブリトーのセットで、Jは鶏肉のモレソース(Mole Poblano con Pollo)。モレソースとは、カカオを使ったソースで見た目もチョコレート色をしている。ずっと気にはなっていたが、食べるのは初めてだ。さてお味は....。
これがモレソース料理。 → 猫にごはん

おいしい!
チョコレートソースだと聞いていたので、甘い味を想像していたが、全然甘くはない。なんというか、濃くて、複雑で、もっさりした、そして完成された味。鶏肉も柔らかくて、よくできている。これは家では作れないなぁ。
しかし帰りにスーパーで、Jはしっかりモレソースを二瓶も購入。ほんとに作るのか、これ。おい。
ブリトーもおいしい。 → 猫にごはん

メキシコからの帰りといえば、国境はいつも車は渋滞、人は大行列を作っているのが当たり前だ。週末の今日、行列覚悟で国境のゲートへ向かうと、なんと人の列はがら空きだった。めずらしい。こういうこともあるのだねぇ。本日の国境越えにかかった時間はわずか20分。うーん、ラクチンだ。確か前回は2時間以上もかかり、もう2度と週末のメキシコへ行くまいと心に誓ったというのに、ずいぶん違うものだ。
右がアメリカへ向かう国境の行列。 → 猫にごはん

ところで、列を作って並んでいると、私たちの数メートル前に並んでいた、クルーカットの白人グループがある頼みごとをしてきた。こんなところでのお願いなんて、どうせろくな話ではあるまいと、にわかに身構える私たち。先ほどから、いかにも酔っぱらってご機嫌そうな彼らだった。禁制品の持ち込みの手伝いなんてしてきたら、即座に英語しゃべれませーん、と断らなくてはね。しかし結局話というのは、
「シャツを貸してくれないか」
ということであった。グループの中の上半身裸の男性を指差しながら話す、礼儀正しいネイビーの若者。聞くところによると、裸だと国境を越えられないのだと。ほんまかいな。その人はちょうど体型もJと同じくらい。JはTシャツの上に、長袖シャツを着ていたので、ゲートを通る間だけ、シャツを貸してあげることになった。その間の保証にと、ネイビーのIDカードまでわざわざ私たちに預けてくれたのだった。よかった、ささいなお願いで。それにしても、そんなことを知っていながら、シャツはいったいどうしたのかね。酔っぱらってどこかで脱いできてしまったのか。初めて見るミリタリーのIDカードを記念にぱちり。

おいしい食べ物といえば、前日の晩は、中国人夫婦Rの家でごちそうになった。たくさん作らなくていいと事前に言っておいたのに、でてきたのはこの量。じゃん。
さすがのもてなし中華料理。 → 猫にごはん

大人4人で多すぎだちゅうに。1週間前からメニューを考えていたというだけあって、それはすばらしいバランスの良い構成だった。さっぱりした野菜から、揚げ物、肉、魚、豆腐。どれも、中華レストランのメニューで見つけてもなかなか頼まないようなものばかり。中国の家庭料理だというが、まったく持ってレストラン並のおいしさだった。
全12品。それも、小さなまな板ひとつ、大きな中華包丁ひとつ、中華鍋たったふたつで、これだけの料理を作る。Rはやるときはやる人なのだ。すばらしい。ごちそうさまでした。

さらに遊びは続き、深夜から明け方にかけて、あづ。さん夫婦とカジノへ。このところ3週連続してカジノへ行っているのだ。あー、楽しい時が経つのは早い。実はまもなく引っ越しをする我が家。いいのか、こんなに遊んでばかりで?

2007年6月18日

引っ越しつれづれ その1

さて、とりあえずの引っ越しも完了した。新しい住処は、じゃん。
猫餌売り場がとても新鮮。→猫にごはん

日本。
帰国しました。ちなみに帰国後はじめて購入したドライフードは、写真右端中央、Caratの『私はのどか(ストレス環境でもくつろげる生活を考える)』。
サンディエゴの居候先から日本の居候先まで、ドアツードアで約20時間。長かったなぁ...。書類や検疫や空港のセキュリティーチェックで若干手間取ったものの、猫ともども無事にたどり着いた。飲まず食わずの長旅の間、猫たちはたいへんおとなしく、そそうもせず、とてもいい子だった。
疲れたねぇ。ほんとによくがんばったよ。もうこんなに長い旅をすることはきっとないだろうから、安心をし。
仮住まいでくつろぐノア。 → 猫にごはん

サンディエゴでの最後の数日間は、マルコさん宅に居候させてもらった。基本的には貸していただいた一部屋の中で猫たちは過ごしていたが、人間の監視付きでドアを開け放つときもあり。そんなときには、マルコさんの愛猫うめこちゃんや、愛犬あんこちゃんにニアミスすることもあるも、特に問題はなし。特にうめこちゃんとノアは、最初はシャーシャーと形式威嚇をしていたが、のちに遠巻きにお互い眺めて、平和りに縄張りの分割をしていたように思えた。
超人見知りで臆病なソフィーも、思いのほか環境に慣れるもので、2日も経つと隠れ場所からでてきて、おそるおそる部屋の探検などするようになった。なんとかなるものなのだなぁ。
それにしても、猫・人間ともどもマルコさんにはたいへんお世話になった。愛情あふれる優しい心遣い。本当にどうもありがとう。たくさんの思い出を一緒につくり、どれも楽しいものばかりだった。これから何年も、何十年も経って思い出しても、きっと今と同じように胸が熱くなるに違いない、楽しかった日々。次は日本で会いましょうね。
最終日の我が家で遊ぶ猫たち。→ 猫にごはん

ところで、日本でもまだ居候をしている私たち。居候先のJ兄宅には、ひとつだけ、しかしながら超難題がある。それはこのヒト。
つくし嬢。 → 猫にごはん

愛情を一身に受けるのが当たり前だった一人娘の前に、突如乱入した人間たちと猫2匹。あぁぁ、キミが襲いかかりたくなる気持ちもよーく分かるよ。どうか仲良くしておくれ〜。

2007年6月20日

複雑なお嬢さま

居候先の一人娘つくし嬢と、うちの猫たちの関係は、相変わらず平行線だ。最初から仲良しになれると思っていたわけではないが、まさかこんなに緊迫感のある状態が長く続くとは予想外であった。
ボランティア先にいた猫たちも、狭い部屋の中では他の猫と仲良くなれなくても、だいたい家に引き取られたあとは、なんとかなったりするものだ。それは家の中だったら、各猫隠れ場所がいくらでもあり、互いに戦いを避けようという意思が働くためだと思う。
ところが、つくし嬢は違う。自分のなわばりを守るため、自分の愛する飼い主を独占するため、それはそれはアグレッシブに戦う生まれながらの闘士なのであった。

ノアとソフィーがいる部屋の扉を、そろりと開けると、まずは好奇心あふれるノアが偵察に踏み出す。この猫は、それはまぁ無防備に、にゃーん、などとすりすりしながら人間のところに走り寄ってくる。そのとき、つくし嬢との距離は、約3メートル。間に立つのは私。しゃーしゃーやるだろうとは想像していたが、次につくし嬢のとった行動は、まったく驚くべきものであった。
怪しい黒猫の姿を見るやいなや、なんと、ノアに向かって全力疾走していったのだ。そして迷わず飛びかかり激しい猫パンチ....の直前に私が間に割って入ることができた。あーびっくりした。それにしてもこんなほっそりした小さな体から、どうしたらこんな大声がでるのかと思うほどの、雄叫びをあげるつくし嬢。すごい、すごすぎる。
びっくりしたなぁ、もう。→ 猫にごはん

ノアはどちらかというと、あわてて走り寄る私の姿に驚いたようで、ひと呼吸たってから、急いで逃げ去った。遅い、遅すぎる。なんちゅうのんびりした猫だ。しかしさすがにショックだったようで、家具の一番上まであわてて飛び上がり、どきどきしていた(想像)。その後、部屋からでるときは(もちろん人間の監視付き)、恐る恐る周囲を確認してから一歩踏み出すようになったので、少し学習した様子。
そんなふがいないノアを尻目に、気配を殺し安全地帯に身を潜めるソフィー。一度だけつくし嬢がジャンプして飛び込んだ場所が、ソフィーの目の前だったことがあったが、そのときつくし嬢は、シャーとはいったものの、特に攻撃はなし。対ノアのときとはずいぶん違う。いいね。もしかしたら、メス同士なら仲良くなれるのかも(超楽観的希望)。
ちなみにつくし嬢は、たいへんなおしゃべり猫だ。人間と目が合ったり名前を呼ばれたり、もしくは人間が台所仕事をしていたりすると、いつでもにゃーんと鳴く。そのときお嬢さまのご機嫌がよければ、「うにゃ〜ん」と甘いかわいらしい声が聞けるし、お刺身など切っている最中の人間であれば、「みゃ〜ぁぁぁおぉぉぉん」という身悶えするほどのセクシーボイスを聞くことができる。しかし運悪く、ご機嫌の悪いときのお嬢さまに出会ったりすると、何も悪いことをしていないのに「うしゃーっ」と叱られ、においをかいでいただこうと差し出した指は、激しく噛み付かれ猫パンチの洗礼を受ける。お体をなでさせていただくときも、細心の注意が必要である。ご機嫌のよいときと悪いときの違いは、見ただけでは全く分からない。なんという複雑な性格の猫だ。つくし嬢と比べると、うちの2匹はそれは単純でのんびりしていて、声ひとつたてない静かな猫だ。

そんなつくし嬢を、今を去ること数年前に公園で見つけたのは、何を隠そうこの私だ。ノミだらけだったあわれな子猫に、産湯をつかわし、名付け親になったのもこの私(自慢)。あのとき激しく引っ掻かれた血だらけになった両腕は、さすがに何かに感染するのではないかと恐れ、抗生物質なども密かに手に入れて怯えていたものだ。あんなに悲惨な状態だった子猫が、まさかこんなに気が強い、しかし美人な猫になるとは思わなかった。懐かしいねぇ、覚えているかい、つくし。
あのときよくもお風呂に入れたわね(怒)。うしゃー!→ 猫にごはん
ひー、ごめんなさい。

それにしても、日本の猫餌というのは、なんて和風味のものが多いのだろう。あらためて探してみると、どれもこれも、かつお節味だったり、煮干し味だったり。肉系が好きで、かつお節も煮干しも大嫌いなソフィーには、いったい何をやったらいいのだ。せっかくだから(?)、和食好きな飼い主同様、本場の和風を味あわせてやりたいと思うのだが、いっこうにお気に召さない。困ったねぇ。

もうひとつ驚いたことがある。猫餌に限らず、最近の食品には、「日本産」「国産」「Made in Japan」もしくは国内の産地など明記されているものが非常に多いのですねぇ。これも時代の流れだね。

2007年6月23日

引っ越しつれづれ その2

猫を海外から日本に連れてくるには、いろいろ手続きが必要だ。詳しくは最新の情報が農林水産省動物検疫所のホームページにでているので、そちらを参考にすればまず間違いなく輸入できよう。しかしながら、このたびは私たちの経験上、いくつか問題になったことがあったので、今後帰国されるどなたかの参考になればと思い、備忘録として記しておきたい。

必要書類のフォームはホームページからダウンロードできるが、まずこれが問題。日本式に作られたその書類の一番の問題点は、日付の書き方だ。例えば、『ワクチン接種日(年/月/日)』と、例え英語で書いてあっても、間違えるんだなぁ、アメリカ人は。アメリカの日付の書き方は、月/日/年。つまり2007年の6月1日にワクチンを打っていたら、アメリカ人は『06/01/07』と書く。これを、『07/06/01』という日本式の順番にして書けというのが、そもそも混乱してしまう。しかも日付を書く欄は、それはたくさんあり、そこここに地雷が埋まっている。
ちなみに私が動物病院で書いてもらった書類には、4箇所日付の書き間違いが発見された。もちろん、間違っているといえば快く、OK!と気軽に直してくれたのだが、中には狂犬病の抗体値検査書類のように、二重線+訂正署名での訂正ができない書類もあるので要注意だ。日本の検疫所からは、訂正レターを出してくれと言われたが、訂正レターすら間違えられる可能性もあるため、私が自分で作って獣医には署名だけしてもらうようお願いしたのだった。

出発直前の健康診断を終え、事前に全ての書類を日本の検疫所に送って再チェックしてもらい、さてOKがでたところで、USDA(米国農務省)の裏書きをもらう。これは郵送でもできるそうなのだが、引っ越しであわただしくしている最中、郵便物が届かない可能性もあったので、 ロサンゼルスのUSDAに直接書類を持参し、裏書きしてもらうことにした。ロサンゼルスまでは片道2時間はかかるので、もちろん当日事前に営業時間を電話で問い合わせした。オフィスアワーは、7:30〜15:30とのこと。ふむふむ。先月同じ質問をしたのと全く同じ答えだったので問題なし、かと思われたそのとき、係員はぼそりとひとこと付け加えたのだった。
「でもエンドースメントアワー(裏書きしてくれる時間)は、7:30〜11:00までだけどね」
がーん。その時点で時間は9時半。しかも出発の2日前。もうスケジュールはきちきちだというのに、きーっ。だまされた(誰に?)。家を出る前だったので、まだましだったが、かなりのショック。こうなったら、時間をやりくりして出発の前日行くしかない。出発当日でもいいか、との考えが頭をよぎったが、用心のためやっぱり前日行くことにした。

行ってみると、狭いオフィスの中、担当者はどうやらたったの一人しかいない。それは混んでいて待たされること。実はここで、私たちは書類がひとつ足りないことが発覚した。一年前に帰国したKさんの書類のコピーの中に入っていたのは知っていたのだが、あえて無視したのだった。日本の検疫所の必要書類一覧には載っていない、その書類。それは、狂犬病ワクチン接種証明書。日本に提出する書類でもないし、内容的には別の書類とかぶっているので、なくてもどうにかなるだろうと思っていたのだった。どうせアメリカのお役所(USDA )はたいして書類のチェックをしないだろうとふんでいたのだが、甘かった。エディー・マーフィーにそっくりなその黒人係官は、日本のお役所並みに驚くほど細かく書類を確認し、代わりにこちらの書類ではだめかと持ちかけた交渉に、にべなく首を振る。
しかし、まぁ、結果的にはFAXでもよいとのことだったので、動物病院に電話し、至急FAXを送ってもらい、ことなきを得ることができた。こういう融通の利くところが良いではないか(汗)。

ASAP(as soon as possible/至急)でFAXするわ!と快く引き受けてくれた、動物病院のアンナ。どうもありがとう。アンナは、その大きい動物病院の事務担当者の一人で、庶民的なジュリア・ロバーツといった感じの大柄美人だ。大胆な性格そのままに、書類を何箇所も間違えはしたが、毎回嫌な顔ひとつせず、笑顔で何度も何度も書類を書き直してくれたね。「検疫書類に関するプロフェッショナルは私よ」と自ら豪語するだけあって、確かに詳しく、そして何よりも非常に協力的で優しかった。全部の書類が整ったあと、ドーナツ1ダースを持ってお礼に行ったら、顔を真っ赤にして喜んでくれた。あなたのおかげで、無事に猫たち日本に来ることができました。と、後日Thank youカードを書くことにしよう。
畳もなかなかいいものね。 → 062307_2.jpg