猫にごはん

 

 

 

 

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見分けのつかない猫たち

ボランティア先に、Woleeという3歳の大きな雄猫がいる。この猫、ちょっと特殊な事情で1年余りの長期に渡り、フォスターファミリーという一次預かり里親に預けられており、つい最近アダプションコーナーにやってきたばかり。フォスターに預けられる猫は、たいてい病気だったり、他の猫とあまりに仲良くやっていけなかったり、子猫過ぎたりと、人が常駐していないアダプションコーナーには置いておけない事情がある猫ばかりだ。フォスターをやっている人はもうどの人も猫飼いのベテランのような方々で、ボランティアとして長年この団体に登録している。
Woleeは肝臓病を患っており、治療は必要ないが、今後もずっと専用の餌を必要としている。たぶんそのような事情から、フォスターに預けられていたのだろう。このWoleeのフォスターをやっていたのが、それはもうたいへん熱心な方で、良い里親を自分で選びたいという。確かに一次預かりとはいえ、1年も一緒に暮らしていたら情も移るだろう。その気持ちは分かる。
今朝若いカップルがやってきた。Woleeを気に入り、申込書を書いてくれた。しかし特殊な事情を持つ猫、私がその場でOKを出すわけにはいかない。職業欄を見ると、若妻のほうはウエイトレス。若夫のほうは学生とある。あぁ、これはちょっと難しかろう。
職業に貴賎があるわけではないが、通常ウエイトレスは州で決められた最低賃金よりも低い時給で働いている。それはチップがあるから許されることで、彼らの店からもらっている給与は驚くほど低いのだと聞く。だから、熱心に接客してくれるウエイトレスにはきちんとチップを渡すべきなのだと、以前あるアメリカ人が教えてくれた。彼らは本当にチップに生活がかかっているのだ。
このカップルが気に入ってくれた猫Woleeは、専用の餌を与えねばならない。それは取り寄せのドライフードで、値段はかなりはる。申込書を見て、顔が暗くなる私。ミシェルにFAXで送ると、やはり彼女も同じことを思ったようだ。しかしこの猫の里親決定権は、フォスターファミリーにある。その方がどう判断するか...。フォスターが直接電話インタビューするということで、決定は持ちこされることになった。
熱心にこの猫が欲しいという人が現れ、餌も特殊でお金がかかることも説明した。それでもぜひにと言ってくれているのに、インタビューまでやるのはやりすぎではないだろうかという気もするのだが、それがこの団体のポリシーなのだから仕方ない。
ところで、このカップルが店に来たときちょっとした事件が起きた。かわいくてならないといった様子でWoleeを撫でる若妻。猫のほうもお腹をだしてなついている。日頃ないような愛撫にちょっと興奮したのか、突然爪をたてるWolee。一瞬の出来事で、止める間もなく、手を引っ込める隙もなかった。かなり深い傷だったようで、彼女の手からはだらりと赤い血が流れ出した。う、やばっ。猫にひっかかれたと怒り、お前を訴えてやると過去に数回罵倒されたことがある私。ものすごいあせった。しかし、
「撫ですぎた私が悪いのよ。大丈夫」
驚いたことに、すぐにおだやかに笑顔を見せてくれたので、たいへんほっとした。傷の手当てをしたあと、「また来るわ」と帰っていったが、本当にまた来るとは思わなかった。30分後、どうしても気に入ったのでこの猫が欲しいと、一旦家に帰ってから、またこのカップルはアダプションコーナーに戻ってきたのだ。初めて会った猫にこれだけ深い傷を負わされて、本当にまだこの猫をもらいたいのだという。白い腕についた爪あとはまだ生々しく、たいへん痛々しい。本気だ、この人たち。本当に気に入ってくれたのだ。
ボランティアのシフトを終えて家に帰った後、どうしても気になったのでミシェルにこの件を追加で報告した。すると、ミシェルも同じく気にしていたようで即座にメールの返信がきた。たいへんいい情報だ。これをそのまま転送するので、フォスターファミリーがいい決定をしてくれるよう祈っているという。
今週末バケーションから帰ってくるというフォスターファミリー。聞けば、Woleeはバケーション中面倒を見れないので、たまたまアダプションコーナーに出されていただけなのだそうだ。偶然とはいえ、良さそうな縁がみつかったWolee。どうかいい結果がでますよう、私も祈る。
がんばれ巨猫! → <br />
がんばれ巨猫!

話は変わるが、9ヶ月になるさび猫の姉妹がいる。ベイリーとヘイリーという名前もそっくりな、たいへんやんちゃで、元気いっぱいな猫たち。兄弟猫なので、2匹一緒にもらってくれる人を探している。外人の顔や名前は一度で覚えられたためしがないのに、猫に関してはすぐに覚えることができる私は、いつもちゃんと2匹を見分けられていた。というか、実はベイリーのほうがちょっと痩せていて顔も小さいのだ。
今日みんなを外に出して遊ばせていたところ、ふと、分からなくなった。どっちがどっちだ?数週間ここにいるうちに太ってきて、2匹の体型はいつの間にかそっくり同じになっていたのだった。うーん、全然区別できん。なんとなくこっちだろうとは思うのだが、絶対かといわれると全く自信がない。こういうときは、奥の手。全猫に埋め込まれている、マイクロチップをスキャンしてみればいいのだ。楽勝、楽勝。
ケージに戻す時間になって意気揚揚と、スキャナーを手にとる私。スイッチオン。ん?電源がつかない。がーん。壊れてる~。
そのとき偶然にも、いつもいるこの店の店員が通りかかり、ガラス越しに、「Hey Baylee!」と呼びかけていった。やった。こっちがベイリーだったか。すかさず捕まえ、各自のケージに入れて、帰ってきてしまった。間違ってないよう、こちらも祈る。
上がベイリー、下がヘイリー(たぶん)。 → 上がベイリー、下がヘイリー(たぶん)。

コメント (7)

あはは、ノア殿でも間違うことあるのですね。いつもカンポキに名前覚えてるので、感心してたあるよ。私は、一度もヘイリーとベイリー、見分けついたことありません。この際、入れ替わってもよしとしましょう。


この間、FOCUSで猫ちゃんたちを見てきただけに色々気になります。
Woleeちゃん、どうなるでしょうかね~。とてもきれいな猫でしたね。
ベイリーとヘイリー、その通りかかった店員さんも
適当に名前を呼びかけただけのような気がしますが、どうでしょう(笑)。
どのみち、一緒にもらわれるのだし、名前もそっくりだし、問題なしということで(笑)。
そういえば、例のコリンちゃんの様子はその後どうですか?
ずっと気になっています。


Woleeちゃんの話し、じーんとしてしまいました。
どうか良い飼い主さんに恵まれますように。


同じく、Woleeちゃんの話にじーーぃん。
ボランティア先での出来事、いつも興味ぶかーく読ませてもらってます。
Woleeちゃんをとっても気に入って戻ってきたご夫婦、話がまとまるといいですね。


>Kさん
ベイリーとヘイリーは本当にそっくりですからね。ああいう
柄のそっくりな猫が家に2匹いたら、たいへんだろうな。
いや、飼主なら簡単に見分けられるに違いないか。
タコマをもしもらっていたら....どうだったでしょうね(笑)。


>マルコさん
さきほど入ったメールによると、Woleeはアダプション
されることに決まったそうです~。ぱちぱち。
さび猫2匹に関しては、あははは!確かにあの店員も
適当に呼んだだけだったかも~(爆)。ま、いっか。
そもそも最初からケージに間違って入ってた可能性もあるし。
あ、だから2匹一緒じゃなくちゃいけないのかも?!
あのとき怯えていたコリンは、先日行ってみるともう
すっかりなじんでいて、声をかけると、ケージに体をすり
すりしてくるくらい、人懐っこさを発揮してました。
かわいいから多分すぐもらわれるんじゃないかなぁ。
マルコさん、どう? ←しつこい^^;


>でめたんさん
Woleeはもらわれることに決定したのですよ~。やった!
こういうの本当に縁ですよね。いい人に巡り合えてよかった
です♪


>ナンコさん
Woleeはこのときの優しいご夫婦にもらわれることに決定
しました!私もうれしい♪
ナンコさん、いつも読んでいただき、光栄でございます。


タコマの方が、だいぶでかかったので大きさで区別するしか。。。が、こうのすけもものすごい勢いで体重増加中なので、ベイリーとヘイリーのように見分けつかなくなるのも時間の問題だったかもしれません。(笑)あとは、肉球の色をチェックするのはどうでしょう。それも黒一色だったら、お手上げだけど。


>Kさん
そういえば足先が白い猫は肉球がピンクなのが多いような気が
しますが、こーのすけは白なのに肉球黒ですね。タコマ、どう
だっただろ?
飼主だったらそっくりでも分かるんだろうなぁ。それとも
猫の名前はみんな一緒っていうのはどうですか?覚えやすい~(笑)。


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