その3で終わりにしようと思っていたのだが、もう少し書きたいことがあったので追加。旅行記長いですがこれで本当に終わりです。どうぞ我慢してお付き合いくださいまし。
最後の晩に泊まった宿は、チマヨという小さな村にある。チマヨは、ネイティブ・アメリカンに伝わるチマヨ織りで有名なところなのだ。チマヨへ行くにあたって、チマヨ織りのラグマットを一枚購入しようと、Jと決めていった。うちにはメキシコで買ったいんちきラグマットが2枚あるが、本物のちゃんとしたラグが欲しい。しかし織物はそれこそピンからキリまである。安いものはあくまでも安く、高いものは目の飛び出るほど高い。
チマヨの一軒の店で見せてもらったその一枚は、それはそれは美しいものであった。店主いわく、Legendary(伝説的)な織物士のインディアンが作った作品で、3ヶ月に一枚しか作れないというラグ。きみたちだけに特別見せてあげると、別室から取り出してきてうやうやしく広げられたそれは、素人目から見ても、織り目がしっかり詰んでいて、素朴な柄がくっきり表現されている。触った感じも、ウールの糸がいかにも高級な感じ。値段ももちろん高級であったが、絶対に購入不可能なほどではない。悩む。
結局悩んだ末、もう1軒のOrtega's weaving shopという店で見つけて、まぁそれほど高くないほうのラグを買うことにしたのだった。というのも、何枚か値段をみずに、触って見た感じで値段当てをしたところ、私たちにはそれほど微妙な違いが分からなかったことと(値段が全然当たらなかった)、どうせうちでラグを使ったら、ノアがゲロを吐いたり、ソフィーが爪研ぎをしてしまうだろうという理由からであった。もう一つの理由は、最初の店の店主がどうも商売っけがありすぎる感じで、伝説の品を目の前に電卓叩きまくり、口上述べまくりなのだった。関係ないが、どうも重みがない感じなのだよね。
それでも我が家としてはかなり値段の張った、第2候補のそのラグマット。床に敷けずに壁にかけて飾ることになりそうな予感なのだった。
奇跡の教会 →
チマヨにはもう一つ有名なものがある。それは『奇跡の教会(El Santuario de Chimayo)』。その砂をかけるとたちどころに病が治るという奇跡の砂があるのだという。
ところが、私たちがこの教会の中に入って約1分後、突如として、朗々たる歌声が聞こえたのだった。見るとローマ法王と見まがうような豪華な衣装に身を包んだ神父さまが登場した。巻き舌の美声でアヴェ・マリアを歌いながら現れると、聞こえたのはパイプオルガンの演奏ではなく、ギターの生演奏。さすがスペイン宣教師たちの作った古い教会だけのことはある。迫力の歌声と演奏にしばし聞きほれる。それにしても、この教会、てっきり観光用に残っているのだと思っていたが、まだしっかり現役なのだった。
巻き舌に圧倒された私たちは、そのままお布施だけをして帰ってきてしまったが、そういえば奇跡の砂を探すのを忘れていた。がーん。
最後の晩に泊まった宿は、Rancho de Chimayo。この宿のことを私はきっと一生忘れない。なぜなら素敵な出会いがあったのだ。それは、キングの愛称を持つこの方。
膝乗り猫エルー氏 →
7室しかないこの小さなB&Bにチェックインしたところ、受付に堂々と現れたのが、この茶トラの猫エルーちゃん。わー、かわいいと誉めてなでまくる私たちを、組しやすい客と判断したこの猫は、私たちが部屋に入るとすぐに訪れてきた。
膝の上に乗り、ゴロゴロと喉を鳴らし、人懐っこいったらありゃしない。かわいー。しばらくスキンシップの時間を与えてくれた後、はいおしまい、と毛づくろいして、ベッドの真ん中で本格的に寝はじめた。おいおい、それは客用ベッドだろう。しかし猫バカ夫婦は、もちろんそんなことで怒るはずもなく、さらに、わーかわゆい~ん、と相好を崩しまくり、写真撮りまくりなのだった。その横で、どうどうとくつろぐエルー氏。完全に猫に舐められているな。
朝ご飯のオムレツもスパイシー →
ここは、併設レストランでの食事もおいしく、部屋もかわいらしく、値段もリーズナブルで、おまけに猫までいる、満足度150%の宿なのであった。またいつか会いたいね、エルーちゃん。
ここは全部ボクの部屋だ。 →
ところで今回は2つの宿で暖炉がついていたので、さっそく薪を燃やしてみたのだが、部屋の中で火が燃えているのは、本当にいいものだ。いつまで眺めていても見飽きない。あぁ、ここにうちの猫たちがいたらなぁ。
それにしても、火が燃えていると、何か焼きたくなってしまうのは貧乏性だからか。焼き芋ができるとか、鮎の塩焼きを焼きたいとか、マシュマロを買ってくればよかったとか、食べ物のことばかり思い浮かぶ。我ながら食い意地が張っているものよ。
そろそろうちの猫たちに会いたくなってきた。
暖炉の前には膝の上でくつろぐよその猫 →
コメント (14)
旅行記を読ませていただいて、すっかり旅した気分になれました♪
私も、カールスバッドの鍾乳洞には是非とも行こうと思います(往復飛行機でー)。
しかし、この暖炉は、なんだかとってもカッコイイですねえ。
いただいたエンチラーダスープ、早速作って飲みました。
結構辛かったです、ジャガイモたっぷりで、美味しいかったです。
ご馳走様でした。
投稿者: あづ。 | 2007年5月 9日 17:22
ホント、自分まで一緒に旅行した気分になっちゃいました。
残念なのは美味しいご飯にありつけなかったこと(爆
ニューメキシコかぁ~これまた言ってみたいところリストにメモメモ!
投稿者: Kalaka | 2007年5月 9日 17:44
「今日の猫」にこの茶トラちゃんがいたので、ボランティア先のにゃんちゃんにゃのかと思っていたのですが、お宿の主だったのですね。かわいいー!
スパイシーにゃオムレツ美味しそうですニャ。
お昼近いのでお腹が減ってきてしまいました(笑)
投稿者: がらにゃん | 2007年5月 9日 17:58
私がいつの日かチマヨに泊まる時には、
絶対この宿にしようと心に固く誓いましたニャ。
白いお腹に茶トラのエルーくん。
私も旅先の宿にたまたま犬や猫がいると、
それだけでラッキーだと思ってしまいますニャ。
オムレツもおいしそうですね~。
投稿者: マルコにゃん | 2007年5月 9日 18:00
うぅ、その2にコメントしたつもりができていなかった(涙)
ニューメキシコは独身時代に1回、k3とたろうと3人で2回と計三回行ったよ。住もうとは思わんが、いいところだな~。
ロズウェル、なつかし~ 前のみやげものの呼び込みをしていた腹の出たおっさん宇宙人と記念撮影したなぁ。
それにしても、宿が私らは毎回通りすがりのしょーもないモーテルがほとんどだったのに比べ、noirさんたちはいい感じのところに泊まっているなぁ~さすがだ。。。
投稿者: あきこ | 2007年5月 9日 20:34
チマヨの猫、エルーちゃん、いいですね。本当にこんにゃ宿にとまりたいですニャ。24年前の一人旅以来、アメリカ大陸には足を踏み入れる機会がありません。noirさんのおかげで、想い出す事も多く、また、行ってみたいと思いましたニャ。実は、24年前のNYシティマラソンは、メキシコ旅行からの下痢が続き、回復しにゃいままで走り、30k過ぎで脱水症と体温低下で病院に運ばれ、夜まで治療を受けるという顛末でしたニャ。フルマラソンでのリタイヤは、今までにこの1回だけですニャ。いつか完走するぞ!と未だに思っていますニャ。
投稿者: クロpapaにゃん | 2007年5月10日 02:48
こんにゃにかわいい猫が部屋にきてくれるにゃんて。。。
うーん、素敵にゃ旅でしたね。
3,4日とは思えにゃい盛りだくさんで充実した内容だ~。
ニューメキシコ、いつかいってみたいにゃあ。
投稿者: こーのすkにゃん | 2007年5月10日 04:25
この暖炉には尻尾が付いてるのですかニャ?
何回も大きくして見ましたニャ。お尻?(笑)
奇跡の教会、素敵です♪
しっかし砂が悔やまれます!
で買ったラグマットのUPは? これから?
投稿者: くろねこ・ママにゃん | 2007年5月10日 05:08
ニューメキシコの旅、堪能しましたニャ。
お疲れさま&ありがとう
近頃ブログのおかげで観てもいにゃい映画を観たつもりににゃったり自宅にいるのに旅行した気分ににゃったり・・これは安上がりにゃレジャーかもしれにゃいですね。
エルーちゃん、おっきくてにゃつこいにゃんて理想的にゃ猫だわ。
ラグもアップしてくださいね。
大切にゃもの、猫に汚されたくにゃいものは床には置けにゃいですね(苦笑)
投稿者: あずきにゃん | 2007年5月10日 18:13
>あづ。さん
洞窟マニアにはたまらないカールスバッド鍾乳洞。ぜひ
とも行ってみてくださいまし。鍾乳洞の中は真っ暗で
思いっきり日陰(笑)なので、太陽の光が弱い方にも
ぴったりですよ!
往復飛行機だったら、1泊くらいで行けそうですねぇ。
そういえば、インディアン居留地もたくさんあって、
カジノもそこかしこに点在しておりました。ほら、
あなたはもう行きたくなる~~(笑)。
>Kalakaさん
ご飯おいしかったですよー。メキシコ料理が好きなら
たまらないかも~。何せ朝ご飯のオムレツまでもが
超スパイシーレッドソースですからねぇ。
確かにおいしかったのですが、しばらくはメキシコ料理
食べなくてもいいかな、という気分です、いま(笑)。
>がらにゃん
そうなのですよー。このお宿の猫だったのです。
茶トラで白足袋を履いた足がほどよく汚れていて、いか
にも外猫風なところがまたよかったです。
さらに、ヒモで遊ぶと(←遊んだ)、がっしり爪を
出したり、盛り上がると噛んだりするところも、がらさん、
あなただったらこの猫をきっと気に入るはず(笑)。
スパイシーオムレツは、本当に冗談じゃないほど辛くて、
でもおいしかったですよ~。
>マルコにゃん
こういう人懐っこい、ものに動じない猫はいいなぁと
つくづく思いました。例えば私たちがペンション経営を
したとして(するんか!)、ソフィーだったら隠れて
出てこないし、ノアだったらお客さんに怪我をさせたり
するかもと思うと、怖くてできませんねぇ(笑)。
ウメちゃんだったら、もてなし役にぴったりかも♪
ニューメキシコ、素敵なところでした。いつかぜひ~!
>あきこさん
おぉ、ニューメキシコに3回も行っていたのですか。
しかもロズウェルにまで行っていたとは。UFO博物館は
K3さんの趣味でしょうか(笑)。
テキサスへ向かってドライブしている最中、あきこさん
たちのことを思い出していたのですよ。確か、途中で
喧嘩して帰ってきてしまったことがあったとか...
(あってる?笑)。
うちも1泊目はしょーもないモーテルですよ。町で一番
安かった(笑)。しかもシャワーが壊れていて、夜中に
修理屋呼んだのです(涙)。
>クロpapaにゃん
あははは。NYマラソンはたいへんだったのですねぇ。
帰りにメキシコに行けばよかったですね。残念ー。
私もベトナムで激しい下痢と脱水症状になったことが
ありますので、あの状態で、クロpapaさんがフルマラソ
ンにトライしたのかと想像すると、まさに若気のいたり
というか無謀というか(笑)。いやご無事で何よりでした。
次のときには、まずマラソン終わってから、危険地帯へ
行きましょうね(^o^)
>こーのすKにゃん
ニューメキシコは本当に行ってよかったですねぇ。
見所満載でした。
サンタフェだったら、Kさんきっとまた行く機会ありま
すよー。
そのときは、ぜひこの猫のお宿にお泊りを。って、別に
私は宿の回し者じゃないですよー(笑)。
>くろねこ・ママにゃん
そういえば、この暖炉についた飾りはなんでしょうねぇ。
Jは暖炉カバーにもついていたと証言しております。
何かのお守りでしょうかねぇ^^;
ラグマットを置いておくと、さっそく猫が興味しんしんで
におってくるので、怖くて置けません~(爆)。
ゲロ吐きません、とノアに誓約書書かせてからじゃな
いと(笑)。
>あずきにゃん
ありがとうございます。楽しい旅行でした~。
エルーちゃん、いい感じの猫でしょう~。かなり大柄で
しかも人懐っこくて、連れて帰りたいくらいでした
よ(←誘拐じゃ!)。
そうなのですよー。あずきさんならよーくお分かりで
しょうが(笑)、猫がいると大事なものを床になんて
置けません~。壁に貼っても、猫が伸びて爪を研ぎ
そうなところは危険だし。もう残るは天井しか安全地帯
はないか?!
投稿者: noir | 2007年5月11日 16:08
アメリカって、他民族国家にゃだけあって、ホントにたくさんの文化が融合してるんですねえ。
行ーってみたいにゃ、よそのー国ー。って、よその国に行かにゃくてもいいんだもん。うらやまピー!
スパイシーにゃオムレツも、おいしそーですね!
投稿者: うさをにゃん | 2007年5月13日 05:54
>うさをにゃん
ほんとですねぇ。まさに多民族国家って感じ。この
サンタフェでは、英語よりもスペイン語が公用語?って
場面が多々ありましたよ。サンディエゴはメキシコ文化と
の共存ですが、ニューメキシコでは、スペインとインディ
アンとの共存のように思えました。
スパイシーオムレツ、辛いもの好きにはたまらない本気の
辛さでしたよー。朝ごはんからこんなに辛くていいのか?!
投稿者: noir | 2007年5月13日 19:30
おおお!ニューメキシコに行く時は、この宿に決定です!(笑) 可愛い猫さんですね~。 でも猫アレルギーがある人が来たら、どうするんでしょう? それにしてもエルーさんにベッドまで占領されて、何て幸せな滞在だったのでしょう! 羨ましすぎます~~。 お料理も美味しそうで、ホント、素敵なお宿ですな~~。
投稿者: 雅子 | 2007年5月19日 09:31
>雅子さん
この宿いいでしょう〜〜〜〜〜。静かで、自然に囲まれて
いて、さらに猫がいる。言うことなしです!私同様
食いしん坊の雅子さんに(笑)、おすすめの安くておいしい
レストランも隣接されております!←ほんとにおいしかった!
エルーちゃんはとっても賢い猫だったので、たぶん
オフィスで猫を出迎えたときの私たちの態度をみて、
そのまま部屋までついてきたのだと思います。だって
他の部屋にもお客さんはいたのに、私たちの部屋にだけ
まっすぐ入ってきたのですよ〜。なんて賢いのだ。
猫のいる宿、ってHPに書けばいいのに、と思いましたが
そういえば猫アレルギーの人がいたら、嫌がりますものね〜^^;
投稿者: noir | 2007年5月20日 17:19