増殖する台所用品
梅雨明け前の天気の悪い中、東京下町の『かっぱ橋道具街』へ出かけた。浅草のすぐ隣にある、この道具街を訪れるのは、本当に久しぶりだ。目当ては中華鍋。
そもそも、うちの台所を見たことがある友人たちなら口をそろえて言うことが、「鍋がたくさんある!」。そうなのだ。確かにたくさんある。さらに鍋だけでなく、台所用品がとにかくうちにはたくさんある。日々使うものから、どんだけ使うねん?といったもの(例:ベトナムコーヒーフィルター、オリーブの種抜き、チーズスライサー、にんにくクラッシャー、パイナップル剥き専用ナイフ、親子丼用小鍋など)まで、それはそれは量が多い。アメリカから持ってきた40箱余りのダンボールの中で、台所関係だけで、1/3強。それ以外の、日本に預けておいた物と合わせると、そりゃあもう普通の台所には収納できるはずもないほど、あふれかえっている。
それなのに、まだ買うのか?
そう。中華鍋だけは古いテフロンのが駄目になってきたので、ぜひとも買う必要があるのだ。別にかっぱ橋に行きたいから、無理やり理由をみつけたわけではないのだ(ほんと)。そこでこれからは、『新しいものを1つ買ったら、古いのは1つ以上必ず捨てる』覚悟を2人で決意した上で、かっぱ橋に向かったのだった(←大げさ)。
実は私、鉄の中華鍋を使うのは初めて。新品の打ち出しの中華鍋は、黒々と光っていて、いかにも本気の雰囲気だ。焦げ付かぬ鍋を作るためには、最初が肝心だと聞きかじっていたので、慎重に新品の下ろし方をネットで学び、いざ実行。(※参考サイト:ためしてガッテン)
まずは、強火でよーく空焼きするのだ。恐ろしく煙が出るので、換気扇は最強にする。最初はきれいに黒光りしていた鍋が、みるみるうちに青黒く変色していく。その間約10分。あまりの台所の暑さに、そろそろ終わりにしたいところだが、こんな記事を読んでしまうと、とても手を抜くわけにはいかない。
さらに焼き続けると、そのうち底の部分だけが輝きが全くなくなり、くすんだ色に変わってきた。この時点で20分経過。これはやりすぎかも、と心配になるが、ここは我慢して、底だけではなく鍋全体がくすむまでよーく回しながら続けなくてはいけないのだ。
中華鍋は取っ手があまり熱くならないものだが、もうこの段階ではさすがに至近距離では触れないほど取っ手も熱くなった。それどころか、台所の中はまるで、夏場にストーブを最強につけて我慢大会でも開催しているかのような異常な熱気。暑い暑い。
結局40分近く続けて、全体を焼き付け、ようやく空焼きが終わった。暑かった。熱中症になるかと思ったよ。それからは、鍋を自然に冷やして、洗剤でよく洗い、野菜くずをよく炒めておしまい。使うときは、『返し油』で油膜を成長させて、焦げ付かない鍋をじっくりと育てていくのだそうだ。
準備が終わった中華鍋で、さっそく炒め物をしてみると、おぉ全くこびりつかない。気分だけは中国人シェフのつもりで、強火で鍋をいきおいよく振ってみると、野菜が空中で円を描いて踊るがごとく。すばらしい。
ところで、この中華鍋を買うときにJともめたことが一つある。
← この本格中華お玉もどうしても必要だと、Jがいうのだ。そして鉄の中華鍋を持っている人は必ずこのお玉も使っているというのだが、本当でしょうかみなさん。私はいままでル・クルーゼのスパチュラ(耐熱ゴムべら)が気に入っていて、どんな炒め物のときでもそれを愛用して、こと足りていたのだ。そしてへらはそれ以外にも、まだ4個もあるのだ。これ以上台所の物を増やしたくない!
しかし、「責任をとるから」というJの一言(なんのだ?)と、チャーハンを丸くかわいらしく盛り付けることができるという誘惑に負けて、結局買ってしまったのだ。ついでに、返し油を捨てるための油入れと、中華鍋を洗うためには絶対必要だという(ほんとか?)、亀の子だわしも買った。そして中華鍋とは関係ないが、今まで持っていなかった食パン型とマフィン型(6個用)も購入。
またもや、台所用品増殖中...。