猫にごはん

 

 

 

 

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2006年8月 アーカイブ

2006年8月 1日

別れを告げる猫

数日前のエントリーでも書いたが、友人Lがいよいよ日本へ旅立つ(帰る?)ので、週末は最後にうちで一緒に夕飯を食べることにした。Lが懐かしがるかもと思い、日本風のシンプルなカレーを用意。そしてLには、頼んでベトナム生春巻きを作ってもらった。
この人はベトナム系アメリカ人で、住んでいる年数としてはアメリカのほうが長いくらいなのだが、さすがにこういう料理を作らせるとうまいのだ。今までにもいろいろベトナム料理を教えてもらったが、今日は基本にかえって生春巻き。とはいえ、私ももう自分ひとりで何度も作っているので、必要な材料は全て完璧にそろえられる。あとはLに巻いてもらい、タレを作ってもらうだけの予定、だったのだが...。
いくつもダメ出しされてしまった。
きっちり並べて → きっちり並べて

数年前にちゃんと教えてもらったんだけどなぁ。だんだん自分のやりやすいよう適当にアレンジしていたのか。まずはレタスの並べ方、香菜の切りそろえ方が違うとな。さらに、巻く直前にブン(米の麺)を乾燥させ温めることなどすっかり忘れていた。エビも豚肉も並べ方が違うと指摘される。うーん。全然ダメじゃん。
久しぶりにLに作ってもらった生春巻きは、それはそれはタイトにしっかり巻き上がっていて、同じ材料を使っていても、巻き方並べ方によって随分味が違うものだと実感する。Lが作る出来たての生春巻きは、今までどこの店で食べたものよりも本当においしいのだ。さすがじゃ。
しっかり包む → しっかり包む

日本語のできないLは、日本では娯楽が乏しい。そこで今回は、いくつか英語字幕付きDVDをもたせてやることにした。その他日本行きのLのスーツケースの中身は、これでなくては絶対ダメだという超お勧めの生春巻きの皮、チリソース、ニョクマム(ベトナム魚醤)など日本で手に入りにくいものであふれかえっている。しっかりがんばるのだよ。

ところで、うちの人見知り猫ソフィーは、お客さんがくると、その人が帰るまでずっとクローゼットの隅に隠れてでてこない感じの悪い猫だ。ところがこの日、Lが来たときは、いつもと同じ何食わぬ様子ででてきた。そして玄関にある見知らぬ靴を見て『ぎくっ』と立ち止まり、恐る恐るリビングの様子をうかがう。Lの姿を見て逃げるかなと思いきや、そのまま餌を食べ、毛づくろいをし、別に普段と変わる様子がない。
そうか。この猫が怖いのは、知らない人の声だったのかと納得。耳の不自由なLとの会話は、片言英語手話と筆談だけなので、リビングもいつもに増してとても静かだ。静かな部屋の片隅で、毛づくろいしてくつろぐソフィーの動く音だけが聞こえる。あぁ、この猫がこうしてお客さんの前で平気でいるなんて、仔猫のとき以来だ。感動的だー。
いつもと変わらないソフィーは、Lになでられても普通にしていた。もう当分会うことのないLに、ソフィーもさよならを言いたかったのかもしれないね。Lはおとといの朝、日本に旅立った。今ごろはもう、久しぶりに会う旦那と団欒のときを過ごしていることだろう。元気でねL。幸せになるのだよ。
見た目も美しい生春巻き → 見た目も美しい生春巻き

2006年8月 4日

朝ごはんの様子

どこの猫飼いの家でもそうだと思うが、明け方になるとうるさい猫たち。餌やり係(私)をなんとか起こして、一刻も早く朝ごはんをもらおうと努力に余念がない。みんなお腹が空いているのだ。
ノアがお腹が空いているとき。まず、人の肌をなめる。そして噛む。そして大声で鳴く。それでもまだ起きないと、枕もとで吐いたりもする。この猫はほとんど自由自在に吐くことができるのだ。しかしたいていは、『吐くふり』だけに終わる。
ソフィーも朝はお腹が空く。ところがソフィーお嬢さまは、ノアのように直接手をくだしたりはしない。この猫がやることといったら、『ノアを襲う』ことだけだ。ノアはいつも人間の腕枕で寝ているのだが、その静かに平和に寝ているノアの首根っこに、理不尽にも突如として噛みつき、ノアを怒らせることを得意とする。そして主に人間の寝ている上空で、ノアを追いまわし大運動会が始まるよう仕向けるのだった。屈折した起こし方だな。
時間帯は早朝5時から6時頃が多い。早いときは明け方4時頃から始まるので、たまったものではない。それでもなんとか被害に耐えながら寝ていると、さすがに猫たちもあきらめるのだが、たいていの場合は猫たちのもくろみが成功することになるのだった。

そんないつもいじめられっ子のノアだが、食べる段になると明らかに形勢逆転し、優先順位が上がる。ソフィーはノアが食べるまでは決して口をつけないし、自分の分を横取りされても、素直に譲る。いったいどういう協定ががこの2匹の間で結ばれているのか、いつも不思議に思う。
朝ごはんは、台所の隅のいつもの決まった場所でやる。皿の並べ方もいつも決まっている。右がノア用(日替わりドライフード)、左がソフィー用(サイエンスダイエット)。2匹ともお腹が空いているから、たいへん盛り上がって、明け方無理やり叩き起こされたとはいえ、朝ごはんをやるこちらも楽しい(と負け惜しみを言ってみる)。
そんな我が家の朝ごはんの様子を動画に撮ってみました。待ちきれなくて2本足で立ち上がり「あーん」と鳴いているのがノアで、「きゃっきゃっ」「きゃっくー」と子猿のように鳴いているのがソフィー。うちの猫たちはどちらも甲高いかわいらしい声で鳴くのだ。この日は片手でカメラを構えながらトレイを置いたので、左右の皿の並べ方を間違えてしまったが、決して撮影用にわざとやったのでも、嫌がらせをしたのでもありません。ほんと。いつもと左右が逆だったので、2匹の混乱している様子が見られます。

動画へGo!  《ファイルサイズ:2564KB》

2006年8月 7日

青空の旭日旗

日本の海上自衛隊の艦艇がサンディエゴに今きていることを、サンディエゴ在住者でご存知の方はいったいどれくらいいるのだろうか。ダウンタウンのピアで3日間一般公開されており、艦内の見学ができるのだ。
海上自衛隊遠洋練習航海部隊という幹部候補生学校の卒業生190名を含む約750名の自衛官が、訓練と国際親善を兼ねて世界6カ国を5ヶ月に渡り航海しているのだ。その途中で寄港したのがサンディエゴ。もうサンディエゴに住んで5年目だというのに、こんなイベントがあることを私は今回初めて知った。
惜しむらくは、せっかくの一般公開なのだから、週末にやればいいのにということ。そしてもっと広く事前に広報すればいいのに。検索した限りでは、日本総領事館のサイトでしか情報が見つからなかった。私は友人Hくん情報により、今回見学があることを知って行ってみたのだった。しかし見学者が思ったより少ないのが寂しい感じ。
サンディエゴに翻る日の丸。 → サンディエゴに翻る日の丸

アメリカ人は国旗が好きだ。街のそこら中、公共の建物だけでなく、一般のビルや学校でも、星条旗やカリフォルニアの州旗をたくさん見かける。そんな中、サンディエゴの港に日の丸と海軍旗が翻るのを目にするのはとても新鮮だ。休憩中と思われる、制服姿の自衛官の方々がダウンタウンを歩いているのも、なんだかものめずらしい光景だ。サンディエゴはアメリカ最大の軍港都市とはいえ、普段からアメリカの軍人さんと身近に接しているわけではないので比べようがないのだが、日本の自衛官の方々の第一印象はこんな感じ。
「みんなすごく背が低い」
なぜだ。いつも巨大なアメリカ人ばかりを見慣れているからなのか。すごく小さく見える。卒業生といえば20歳は過ぎているのではないのだろうか。大人のはずなのに。そして次に、「みんなすごく痩せている」ということにびっくりした。あれ、日本人ってこんなにみんな痩せていたのか?いかんなぁ。自分がアメリカに来て以来、最大体重記録更新中とはいえ、こんなことに感心するようになってしまったなんて情けない。
艦内見学コース。 → <br />
艦内見学コース

艦艇は練習艦「かしま」、「やまぎり」、護衛艦「あまぎり」の3艦。
見学コースがきちんと決められている。艦内くまなく自衛官の方々がいて、みなさんきちんと、はきはきと挨拶をしてくれる。なんて礼儀正しいのだ。階段やはしけにお気をつけくださいと、注意してくれる。私のような浮かれた観光客がもし今誤って海に転落したら、きっと全員で助けてくれるだろうと思うと、つい飛び込みたくなる衝動にかられてしまう。そしてみんなとってもまじめそうだ。きっと本当にまじめな方たちなのだろう。トイレのマークがあったので試しに使わせてもらったら、個室の中まで案内してくれ、水の流し方まで教えてくれた。うーん、きっちりしていること。
どこもかしこも金属という金属が、全て鏡の如くぴっかぴかに磨き上げられているのに気づき、いたく感心する。見るとみなさんの黒い革靴もおそろしく光っている。靴ってこんなにもきれいになるのか。
質問にも何でも答えてくれる。
アメリカ人のおじさんに、どこから来たと英語で聞かれていたある自衛官の方は、「Japan」と応え、そんなことは分かっていると切り返されていた。英語でみんながんばってるねぇ。5ヶ月も海にいて日本が恋しいでしょう、と私が聞くと、「自分は阪神タイガースのファンなので試合が見られないのが残念です」と言っていた。新聞もテレビもないのだという。まるで子供のような若さできらきら目を光らせながら話してくれるので、思わず「今年の阪神は絶好調で、もうすぐ優勝するだろう」と嘘をつきたくなってしまうほどだった(←ほんとは全然順位など知らない)。なんだかいじらしくて、日本のお菓子でも持っていたら、あげたくなってしまう感じ。いや、持っていてもきっとJに止められたに違いない。

まもなく日本へ向けて帰港なのだそうだ。どうかみなさまご無事で。がんばってくださいませ。
青空に旭日旗。 → 青空に旭日旗

2006年8月10日

夏野菜のススメ

たまに無性に食べたくてならなくなる食べ物があるが、私はその中の一つが夏野菜の煮込みだ。フランス風だとラタトゥイユ、イタリア風だとカポナータ。その違いがどこにあるのかは知らない。日本で作ると材料をそろえるのがめんどうだが、アメリカにいるとその点楽だ。必要な野菜は全てそこらのスーパーで売っている。
夏野菜たっぷり → 夏野菜たっぷり

今回使った野菜は9種類。赤パプリカ・黄色パプリカ・緑パプリカ・米ナス・ズッキーニ・トマト・セロリ・いんげん・玉ねぎ。夏野菜というか、年中売っているので季節感は全くないが、色がきれいで夏っぽいので、気分は夏野菜の煮込み。これだけの野菜を大量に簡単に摂取できるすぐれた料理は他にはないのではないかと思う。今日はこの写真の野菜全部使った。
鍋いっぱいできた。 → 鍋いっぱいできた

この鍋など小さく見えるが、実は直径24センチ、3.4リットルも容量があるのだった。いったい何人家族なのかと、誰かに聞かれたら、4人と答えるつもりだ(ただし猫2匹も含めて)。しかし誰にもそんなことは聞かれないから、余計な心配なのだった。
この料理は、以前Jの同僚のフランス人が作ってくれたのを食べたことがある。その人なんて、いかにも全然料理などしなさそうな女性なのに、数時間前に作ったばかりというそのラタトゥイユは、驚くほどおいしくて、びっくりするほど味が決まっていた。さすが作り慣れているものは違う。
ラタトゥイユのいいところは、温かいままでも、冷たく冷してもおいしいこと。たくさん残ったらチーズを乗せて焼いてみても良し。日持ちもするし便利この上ない。私は2日目くらいのが一番好きだ。
今日は冷蔵庫でつめたーく冷して、熱々のガーリックトースト、きーんと冷した白ワインとともに食卓へ。普段は赤ワインばかり飲んでいるのだが、この料理のときは白ワインがまた合うのだ。辛口の冷酒でも良い。うーん、くいくい進むこと(←結局飲んでばかりいる)。
冷たい白ワインがぴったり。 → 081106_3.jpg

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2006年8月12日

北極星の見つけ方

先週まで、夜空を見上げてもどんな星も全然見分けられなかった星音痴の私だが、今はカシオペア座などというむずかしげな星を見つけることもできる。カシオペア座が分かれば、北極星も分かる。北斗七星のひしゃくも見つけられる。ひいては、方角までが分かるのだ。こんなことは太古の昔から世間の常識なのかもしれない。しかし私はついこの間までは、何一つ知らなかったのだ。
ペルセウス座流星群が一年で一番よく見える日。それがこの土曜日(12日)だった。流れ星といえば、数年前しし座流星群が話題になっていたとき、一度だけ見たことがあるだけだ。今回は、『とことん真っ暗闇の中で寝そべって心ゆくまで流れ星を愛でる会』を開催し、星に詳しい友人Hくんとマルコさん、そして私の3人で、サンディエゴから遥か東の山の中へ分け入って星を観測することにした。
だいたい車で10分も走れば、もう充分だと思われるくらい真っ暗になるのだが、星を愛でる会はそんなことでは満足しない。飽きるほど東へ向かい、ハイウェイを降りてからも、ハイウェイの明かりが徹底的に見えなくなるまで30分も南へ向かう。周りは本当に真っ暗闇だ。人っ子一人いない。あまりに暗すぎて怖いので、車からは離れないようにする。いくら田舎とはいえ、アメリカで真っ暗の中道路に寝そべるのはかなり勇気がいる。遠くに聞こえる車の音も怖いし、草がざわざわと風で揺れる音ですら、誰か隠れているのではないかと恐怖を誘うのだった。
しかし思い切って、寝そべって空を見上げると、それはそれは美しい一面の星空。草むらで隠れる地面近くを除いて、180度見渡す限り、上から下まで全て星・星・星。普段見えないような小さい星もたくさん見え過ぎてしまうので、星座など見つけることができないのではないかと心配になる。
そもそも星座の、線で結べば、みずがめの形になるとか、こぐまの形になるだとか、かなりこじつけで、そんな形になど見えるはずがないと思っていた。ところが、そう言われて見つづければ、本当にそんな形に見えてくるから不思議だ。「あのWの形がカシオペア座だ」とマルコさんに教えてもらったあとは、ちゃんと夜空に『W』だけが浮き上がって見える。天の川は、本当に巨大な白い川のように大きく空一面にうねっている。そうか、星座ってこういうものだったのね。こういうの全部分かるようになったら、さぞかし楽しいだろう。しかし星座初心者はいきなり無理せず、今日はWだけを眺めることにする。その近くにある、ペルセウス座というところが放射点(流星が放射状に飛び出してくるように見えるところ)なのだ。
待つほどなく、一つ二つ流れ星が見える。上へ下へ流れる。あまりに長く、すうぅぅぅぅっと線を描いて流れるときは、願いごとを10回は繰り返し言えたに違いないとあとから思うが、美しさにうっとりしてそんなことはすっかり忘れて見入ってしまうのだった。きれいだ。しかし夜がふけるにつれ、次第に月が上がりはじめ、それにともない星の見える数もぐんぐん減ってしまうのだった。残念だ。
帰り仕度をする私たちに、近づいてきた一台の車。それはまさしく巡回中のパトカーであったが、星を眺めに来ただけの私たちに、何らやましいことは無い。何をしているのか?という警官の尋問にも、「今夜はたくさんの美しい流れ星を見ることができた」ときらきらと純粋な瞳を輝かせて(←たぶん)、どうどうと答える。よくよく考えれば、暗闇の中で道路にビーチマットを敷いて寝そべっている東洋人3人組というのも、かなり異様な光景ではあるのだが、私たちの純粋さにほだされた警官は(←たぶん)、気をつけて早く帰れと優しい言葉をかけてただ去って行っただけなのだった。
4時間半のドライブで、走行距離は往復213マイル(約350キロ)。今年の星を愛でる会はこれでおしまいだ。あぁ楽しかった。
今宵ばかりはにっくき月。 → 今宵ばかりはにっくき月

2006年8月15日

猫の年齢

今日はソフィーの28歳の誕生日。

え、そんなに老猫だったの?と驚いたそこのあなた。いえいえ、これは人間に換算したらの話。ソフィーの実年齢は3歳だが、人間年齢28歳というとなんだか生々しい感じがしなくもない。
そんなソフィーの3歳の誕生日のプレゼントはこれ。
こんなにいらないわよ。 → こんなにいらないわよ。

ふわふわボール。ソフィーはこの手の軽い小さいボールが大好きなのだ。買ってやっても、いつもたちまちのうちに無くしてしまうので、今回はいっぱい買った。もうすでにいくつか行方不明になったような気もするが、これだけあると全然減った感じがしないのがいい。ささっ、好きなだけお遊び。
もう子供じゃないんだからね! → もう子供じゃないんだからね!

飼い主の私の目からするとソフィーは、うちにきたばかりの生後3ヶ月の頃から何ら変わりなく思える。未だに仔猫のままで、小さくて、かわいくて、やんちゃで、愛らしくて、頭が良くて、甘え上手で、ため息のでるほど美人で、かけがえのないソフィー。うちにばかり、こんなにかわいい猫がきて、一人で愛情を独占していて本当にいいのかしらと罪の意識を感じるほど(←自他ともに認める猫バカ)。

こんなボールこうしてやる!がじがじ → がじがじ

た、食べないでください、ソフィーさんっ。
誕生日おめでとう。これからも元気で長生きするのだよ。
案外楽しいじゃない。 → 案外楽しいじゃない。

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2006年8月18日

静かな夜遊び

今日は前から予定していたBonfire(海辺でたき火をやること)だ。先月にも同じイベントがあったのだが、混雑する暗い海辺で仲間と会うことができなかった私たちのため、友人スーザン一家が再度取り仕切って行ってくれたのだった。
何度も確認のメールをくれ、携帯の番号を教えてくれ(前回は携帯の番号を間違ってメモしていたダメな私)、地図まで送ってくれた。おまけに迷わないよう凧をあげて待っているという。いくら方向音痴な私でも、そんなにしなくても大丈夫なんだけどなぁ。
行ってみると、おぉ確かに凧があがっている。しかし、海辺にはあちらこちらに凧がっ!みんな凧を目印にしているのか、それともただ遊んでいるだけなのか。おまけに凧があまりにも高く上がり過ぎているため、いったいどのたき火近辺から上がっているのか判別困難。かえって難しいわ!それにしても、なぜみんなこんなにたき火が好きなのだ。たくさん点在している海辺のたき火スペースは、いつも満員。
高く上がりすぎな凧。 → 高く上がりすぎな凧

みんなで集まり、たき火を囲んで何をするかというと、『たいして何もしない』というのがぴったり。日が暮れて涼しくなった海辺で、たき火を見ながら永遠とおしゃべりをするのだ。食べ物はホットドッグと焼きマシュマロ(どっちも串に刺して焼く)だけ。アルコールもない(私が持っていった数本のビールが唯一のアルコール)。うーん、なんて健全な集いだ。
しかし何より、私がアメリカの海辺で一番いいと思うことは、静かなことだ。誰もラジカセで無粋な音楽を流したりしない。花火(サンディエゴでは禁止されているそうだ)の音もない。海岸ではいくつものグループがたき火をやっているにもかかわらず、聞こえるのはただ、火がぱちぱちと勢いよく燃える音とさざなみの音だけ。気楽で手軽で、こういう夜の遊びは本当にいいものだ。
勢い良すぎて何を焼いているのかは見えない。→勢い良すぎ

初めての病院

アメリカに住んで5年目だというのに、病院へ行ったことのない我が家(除く動物病院)。健康診断すらしていないので、健康なのかどうかは分からないが、少なくとも自覚のある病気をしていないということだ。そんな私たちがこのたび初めて保険を使う機会が訪れた。それは歯医者。
そうなのだ。歯医者すらこの4年間一度も行っていない。私はもともと歯医者も健康診断も好きで、日本にいたときは自ら進んで半年に一度の歯科検診と、年に一度の人間ドックを欠かさなかったほど。それなのに、ところ変わればおっくうな性格に変わるものよ。

先週末頃からJが熱をだして寝込んでいた。熱が下がったと思ったら、何かの菌が入ったのか急に奥歯が痛みだしたという。どうやら唯一残っていた親知らず(wisdom tooth)が原因らしい。しかし大の歯医者嫌いなJは、いっこうに認めない。痛いのは歯ではなく、歯茎だと言い張り(同じことじゃないのか?)、顔が腫れているのは歯ではなく、熱のせいだと言う。
しかし歯茎だろうがなんだろうが、痛くなったらどうしようもない。嫌がるJを尻目に、歯医者に予約の電話を勝手に入れる。アメリカの歯医者はなかなか予約を受けてくれないと聞いていたが、緊急だと申し出たところ、なんと親切な近所の歯医者が今すぐ来ても良いと言ってくれた。
診てもらったところ、歯茎が痛かっただけにもかかわらず(←しつこい?)、親知らずを抜くことに決定されてしまったJ。だまされたと私をなじるが、今更あとの祭りなのだった。はっはっはーだ。

アメリカの歯医者に豊富な経験があるマルコさんあづ。さんに聞いたところ、抜歯は全然痛くなかったと口をそろえて同じことをおっしゃる。マルコさんのによると、麻酔の注射すら、痛くないよう薬を塗ってからやるので、全然痛さを感じなかったそうだ。あづ。さんなど、抜歯後顔が腫れあがったにもかかわらず、痛み止めが良く効くから抜いたあとでも痛くなかったそうな。
という貴重な経験談をJに伝え、大丈夫だと励ます私。しかし抜歯が嫌なJは、もう前の日から食事も喉を通らない。そしていよいよ抜歯当日。終わって歩けないようなら連絡をすると言っていたJから、抜歯予定開始時間後間もなく電話があった。
「麻酔の注射、痛かったじゃないか!」
怒りの電話だ。しかもまだ麻酔しかしていないらしい。注射は痛かったかもしれないが、抜くのは大丈夫。痛くないはず。がんばれー。そして1時間後。
「すんげー痛かった。みんなにだまされた」
また怒りの電話がっ。迎えに行ってみると、本当にあまりにも不機嫌そうだったので、かわいそうなのだけど、なんだか笑ってしまった。家に帰ってからも、(思ったほど血もでてないのに)脱脂綿を取り替え、(腫れてなさそうなのに)氷で顔を冷し、(熱もでてないのに)寝込んでいる。アメリカの歯医者は最悪だとさらに怒りはおさまらず、唯一良かったのは、処方された痛み止めが良く効いて痛くないことだそうだ。どうやら全然痛くもないらしい。
なぜかこのまま数日寝込む予定だというJがやっていることは、抜いた親知らずの歯を何度も眺め(きちんとケースに入れてくれる)、よくがんばったと自分を称え、食べていないせいで体重の減った状態を確認するため体重計に乗ること。
オレンジのは、とってもきれいな風邪薬。これもでかい! → 左上のはとってもきれいな風邪薬。

ところで、薬について。
痛くなりそうだから痛み止めをすごく良く効くのにしてくれと、歯医者に頼んだそうなのだが、薬局からもらってきたのをみると、抜歯前にくれた痛み止めと同じ物だった。しかし量が倍増。そして量が倍増されたら、おそろしいことに薬の大きさもそのまま巨大になっている。アメリカの薬ってただでさえ大きいのに、もはや飲み薬としては、信じがたいほどの大きさだ。このまま喉に詰まらせて死んでしまう人がいるのではないかと心配になる。
考えたらアメリカでは、猫の薬もすごく大きいのだった。ボランティア先で、人間でも大きいだろうと思われる巨大なカプセルを、数時間置きに猫に飲ませろと指示があったりすると、毎回目が点になったものだ。
飲みにくくてたいへんだろうが、がんばって早く元気になるんだよ、J。

2006年8月22日

ちょっと

1週間ほど旅にでてまいります。どうか探さないで...、って誰も探さないか。
いってきまーす。

2006年8月30日

ニューヨーク旅行 -飛行機-

夏休みもなく働くJが、どこにでも一人で遊びに行ってきてよいというので、ニューヨークへ行くことにした。アメリカに住んでいるうちに、行けるところにいろいろいってみたい。ニューヨークは3年前の真冬にJと一緒に行ったことがあるので、2回目だ。アメリカ国内を一人で旅行するのなら、都会のほうがよいように思える。サンディエゴも含むが田舎だと、公共の交通機関が発達していないので車がないと不便だし、何しろ私は自慢じゃないが方向音痴のうえ地図が読めないので、慣れない土地で運転など絶対にしたくないのだ。その点、ニューヨークなら車がなくても電車で十分回ることができる。
サンディエゴからニューヨークまでは、コンチネンタル航空でヒューストン乗換えになる。ところが、待てど暮らせど飛行機はヒューストンに着陸しない。悪天候のため着陸できなくなったとアナウンスがある。見ると窓の外では、確かにほど遠くない空で、雷が光っていた。飛行機はちゃんと雨雲を避けてぐるぐる周回しているため、ヒューストンの都会だけに暗雲がたちこめ、目線と同じくらいの高さから地上に稲妻が光るのが、安全な場所で眺められるのが不思議な感じだ。
結局空港に着いたのは、2時間遅れで、乗り換え予定だったニューヨーク行きの飛行機はまんまと飛び立ってしまったあとなのだった。どうやら、出発便の飛行機だけは時間通りに運行されていた様子。航空会社からは、翌日朝一の便の振替えチケットを渡されたが、天候遅延の理由ではホテル代は出せないとのこと。きー。おまけに預けている荷物は機内留め置きで、ほとんど手ぶら状態でどこかに一泊宿を見つけなくてはならなくなった。
こういうとき空港内は大混乱しているかと思いきや、あきらめのよいアメリカの乗客たちは不満げな様子ながらも、振替えチケットを手に三々五々解散してゆく。しかしあきらめの悪い私は、再度別の窓口で文句を言い、ホテル代の割引券とトラベルキットを手に入れたのだった。何せ、少し前のイギリスでのテロリスト逮捕の影響で、今は機内持ち込みの荷物が厳しく制限されている。化粧品・洗顔など女性にとって必要なものはあらかた持ち込めないのだ。そういうものは全部預け入れ荷物に入れなくてはならない。
急遽電話で予約したモーテルに夜半にたどり着き、先ほどせしめたトラベルキットのポーチを開けてみると、なぜか髭剃りクリームが3個も入っていたが、あとはシャンプー・石鹸・リステリン・デオドラントクリームなど。ローション一つ入ってないじゃないの。きー。気がきかないったらありゃしない。へんな石鹸だけで洗顔し、結局翌日昼過ぎまで、化粧水一つ付けなかった。しかし、あら。思いのほか何も付けなくても、肌ってつっぱったりしないのね。これは新たな発見。
モーテルで深夜働く受付のおばさんは、退屈していたのかたいへんなおしゃべりだった。芽キャベツの大好きなシャム猫を溺愛しているのだと。お互い飼い猫の写真を見せ合い(←旅行のときはいつも持ち歩いている)、どんなところにでも猫バカはいるものだと、楽しい気分になれたのだった。

教訓 : 最終便の飛行機で乗り換えするのはたいへん危険なので、今後は避けること。

ニューヨーク旅行 -美術館-

ニューヨークに行ってしたかったことの第一は、メトロポリタン美術館へ行くこと。ここは前回来たときにも半日費やしたのだが、いかにも全然時間が足りなかったのだ。今回は下調べも充分に、3日間をゆっくりメトロポリタンで過ごすことにしたのだった。あー贅沢だ。
1日目は、気の向くままにぶらぶら館内を歩く。2日目は、アジア部門、ギリシア・エジプト部門、彫刻、モダンアートその他を軽く見学。そして最後の3日目。オーディオセット(作品案内が流れる)をレンタルし、案内書を片手に、一番見たかったヨーロッパ古典絵画を中心に、一つ一つ心ゆくまで時間をかけて鑑賞する。絵画があるたいていの大きい部屋の中心には、ベンチやソファが用意されている。そこで好きなだけ休憩しながら、何度も行きつ戻りつしながら、隅々まで歩く。こういうとき、時間や連れの人を気にしなくていいところが、一人旅のいいところだ。古典絵画だけで6時間かけた。幸せ。
その他回った美術館は、クロイスターズ(メトロポリタン別館、The Cloisters)、フリック・コレクショングッゲンハイム美術館MoMA
クロイスターズは、大金持ちのロックフェラー家が寄贈した美術館で、マンハッタンの北端に位置する。ヨーロッパの古い教会などを、そのまま丸ごと船で運んできて移築したもので、その建物から見える景色も永遠に損なわれないよう、丘や対岸の土地も全てロックフェラー家で買い切ってしまったとのこと。確かにどこか高原の湖にでも来たような、マンハッタンとは思えないような光景が広がっている。ヨーロッパに行ったことのない私は、本物の古い古い西洋建築をここで初めて見た。アメリカにあるヨーロッパ風の古い建造物とは全然違う。そしてこの中にある彫刻や十字架やタペストリーの、なんとしっくり雰囲気に合っていること。大雨の中、わざわざ来た甲斐があるというものだ。
キュクサの回廊(クロイスターズ) → キュクサの回廊

ところでこの日の大雨は、私がこれまでの人生で経験したことのないほどどしゃぶりだった。傘などあってもなくても、とことんびしょ濡れになってしまうひどい雨で、傘やレインコートを身に着けている人でも、雨宿りが必要なほどなのだった。ちなみにタイムズスクエアの街角で3ドルで買った安物折りたたみ傘は、雨漏りがするし(どんな傘だ)、すぐに折りたためなくなってしまったし、しまいには文字通りばらばらに分解してしまい、3日間で捨てるはめになった。さすがは安物だ。

フリック・コレクションは、これまた大金持ちのヘンリー・フリック氏の個人的コレクションを、元邸宅をそのままつかって一般公開している美術館だ。ヨーロッパ絵画を中心に、小さいながらも充実した品揃え。個人所有の絵画だからどういう形で公開しようと、全くもってご本人の勝手なのだが、できれば目と鼻の先にあるメトロポリタン美術館に全部寄贈して、画家や年代別に一緒に並べて公開してくれたらいいのにと思う。この美術館にはフェルメールが3点ある。おまけにここは写真も一切禁止(メトロポリタンなどでは、ストロボをたかなければ写真を撮ってもOKである)。そして亡き氏の遺言により、ここにある作品は、他美術館には貸し出しは一切しないそうだから、世界のどこかで〇〇展が開催されても、ここの絵は見ることはできない。興味のある絵があったら、ぜひ訪れて見ましょう。
ペルセウスとメドゥーサの頭(メトロポリタン) → ペルセウスとメドゥーサの頭

ところで、メトロポリタン美術館にあるゴッホの自画像は、裏側に別の絵が描かれているので、両方が見えるよう部屋の中央に置かれている。そこでは入れ替わり立ち代り見学者がやって来て、その自画像の横に顔を近づけて絵と並んで記念写真を撮っていく。何でゴッホの絵と一緒に写真など撮りたいのだろうと不思議に思うのだが、ちょうど高さも並んで立てる位置にあるせいか、国籍問わず老若男女が写真を撮っている。目の前のソファに座っていたら、シャッターを押してくれと2組に頼まれた。この人たちの旅のアルバムの片隅に、ゴッホと並んで満面の笑みでVサインするこの1枚が収まるかと思うと、ゴッホが当時夢にも思わなかったであろう不思議な世界の繋がりに思いは遠く馳せるのであった。

ニューヨーク旅行 -観光-

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この写真、なんだかお分かりになるでしょうか。そう。映画『ビッグ』をご覧になったことのある方なら見覚えがあるはず。大人の姿になってしまったトム・ハンクスが映画の中で遊ぶ、五番街にあるおもちゃ屋さん(FAOシュワルツ)のピアノ鍵盤だ。たまたまこれはショーの時間で、映画の中でかかった曲を2曲演奏していた。懐かしいなぁ。この映画かわいらしくてすごく好きだった。

ところで、そもそもミュージカルには全く興味がなく、それどころか嫌悪感すらあったので、今回の旅行でもはなから行く予定はなかった。しかしマンハッタン在住の雅子さんの「ブロードウェイのミュージカルは他とは違いますよ」の一言で、急に見てみたくなったのだった。そうこんな私でも、昔のことだが過去に日本で2度ほどミュージカルを見たことがあるのだ。いずれも誰かにチケットをもらったとか、そんな理由で行ったもので、もう何だったかも忘れてしまったが、生真面目な内容だった。普通のテレビでいつも見るような役者さんが、普通の日本語のセリフの合間に突如として英語まじりの日本語で歌いだす、その違和感がたまらなくゾゾっとしたのだった。
物語と同じにデコレーションされている劇場のトイレ。 → 劇場のトイレ

今回観に行くことにしたのは『Hairspray』。もちろん聞いたこともなかったが、トニー賞8部門を受賞した作品だそうだ。60年代アメリカの、都会に憧れる太った10代の女の子が主役のラブコメディーだ。そして、それはそれは本当に笑えて楽しめた。こういう楽しいミュージカルというのもあるのだなぁ。歌も踊りもすごかった。何で昔はあんなに嫌いだと思ったのだろう。不思議だ。チケットはTKTS(安売りチケット屋)で当日分が半額で買える。

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天気が悪くてぱっとしない写真だが、自由の女神も見てきた。時間がなかったので観光船ではなく、Staten島行きの通勤用フェリー(無料)に乗ったが、このフェリーもまた自由の女神の近くを通り、マンハッタンを一望できる。片道25分。Battery Parkのフェリー乗り場から、30分おきに出航している。

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このにぎやかな夜の街角の写真。これはタイムズスクエアの一角で、なぜこんな歩道の真中で何人もが携帯で電話しているかというと、ここにはウェブカメラがあるのだった(TimesSquareCam)。
たまたま旅行前ネットで見ていて、タイムズスクエアを通った際に、きょろきょろしていたらその場所を見つけた。そしてこの写真のように、携帯電話で、ネット中の誰かと話しながら、カメラに向かって手を振っている人などが数人いたのですぐに分かった。早速私も家にいるJに電話し、生の映像を見てもらったのだった。一方通行とはいえ、テレビ電話みたいで面白い。帰宅してから、Jが画面キャプチャーしてくれた画像を見てみたら、案外ちゃんと顔が分かるので笑える。
ニューヨークへ遊びに行くご予定の方、お勧めです。タイムズスクエアのTGIFriday'sが目印ですよ~。

ニューヨーク旅行 -出会った方々-

ニューヨークでお会いした方第一弾は、この方。じゃーん。
ひもを狙う拓ちゃん → 拓ちゃん

写真をみただけでお分かりになった方、たくさんいらっしゃると思います。これは『ニューヨークでのヨガ生活』でおなじみの雅子さん、の愛猫の拓ちゃん。雅子さんとは夕飯を一晩ご一緒させていただき、翌日のお宅訪問で、そこで拓ちゃんにも会うことができた。それはそれはもう美しい拓ちゃん(あ、もちろん雅子さんもお美しゅうございました。うふ)。しかし第一印象は、で、でかい....。18ポンド(8キロ超)あるという堂々たる巨猫の拓ちゃんは、四肢も骨格もがっしりとたくましく、大きくなるべくして育った麗しい猫で、決して太っているわけではない(と思う)。
まだ若猫なので、ひもで簡単に遊んでくれるところがかわゆい。何をしてもちっとも怒らない。好きなだけなでたり抱いたりさせてもらい、うちの猫たちと会えない寂しさをしばし紛らわせてもらった。私は大きい猫が好きだ。大柄な拓ちゃんを見たあとで、家に帰ってうちの猫たちに再会したときには、なんだか小さくて物足りない感じが少ししたのだった。
雅子さんには、ソーホーやイーストビレッジ周辺を案内してもらい、貴重なお勧めレストラン情報をたくさん教えてもらった。初対面とは思えない気分にさせてくれた、優しくて気さくな雅子さん。どうもありがとうございました~。

そしてもうお一方お会いしたのは、『猫に納豆』のちきかよさん。ちきかよさんとは、かれこれ2年近く前からブログで知り合いになり、このたびニューヨークへ遊びに行くことを連絡したところ、一緒にご飯を食べることになったのだった。
日曜のブランチに行ったお店は、Sarabeth'sという人気店で、雨の早朝だというのに、食べ始めた頃にはもう行列ができていた。ほんと、おいしい店はみんなよく知っていること。
絶品パンケーキ → 絶品パンケーキ

私が食べたのはこの写真の、レモンとリコッタチーズのパンケーキで、もうそれはとろけるような爽やかなおいしさで、絶妙な組み合わせとはこのことだ。どうやって作るのだろうかと思っていたが、ちきかよさんのサイトにレシピのリンクが張ってある。どうぞお試しあれ。
ちきかよさんは想像通りの魅力あふれる方で、ばりばりと大都会で働く、しかしたおやかな女性なのだった。そして飲んだらとっても面白そう。次回は一緒に飲み交わしましょうね。ちなみに、ちきかよさんの愛猫ニケちゃんは、2ポンド(1キロ弱)しかない小柄な猫だそう。いろいろな体格の猫がいるものよ。

地下鉄のホーム。 → 地下鉄のホーム

ニューヨークの地下鉄の中では、いろいろなことをしている人がいる。大きな駅のホームでは、それこそ様々な楽器を演奏している人たちがいるのだ。私が見たのは、ドラム、サックス、ギター、横笛、縦笛、古代風の笛、バイオリン、その他不明な楽器などなど。これらの人々は、ホームだけでなく電車の中にも現れて、一曲演奏するとお金を集める容器を手に乗客の間を回るのだった。
そういう人があまりにたくさんいるので、そうそう毎回小銭を渡すわけにはいかないのだが、ぐっときてしまった例を二つ。
ひとつは、ペルーの民謡を素朴な楽器で演奏する、ペルー人らしき二人連れ。とっても上手だった。タダで聴かせてもらうのがもったいない感じ。CDも出している様子であった。
地下鉄の中。 → 地下鉄の中

そしてもうひとつが、何も演奏しないがある女性。空いている数人だけの車内で、突如として澄んだ大きな声がした。
「私の名前はレイチェル。36歳」
見ると身なりもそんなに悪くない白人女性。いやむしろ、小汚いジーンズの私よりもきれいな格好をしている。疲れたような顔で、しかし正面を向いて堂々と大きな声が続く。
「子供が二人います。私は突然このような(物乞いをしなければならない)状況になってしまいました。お金が必要なのです。どうか助けてください」
私はもとから、女性の物乞いの人に弱い。見てはいけないような気分になるのだ。1ドル札を用意すると、すっと近寄ってきた彼女は目を合わせずに、「God bless you」とうって変わって小さな声でつぶやいた。誰だって他人に物乞いなどしたくないのだ。頭など下げたくないのだ。今この瞬間この人は、施しをする私のことをどんなにか憎んでいるだろうと感じる。お金を入れるアイスクリームの空き容器は、使い込まれたようにぼろぼろだった。
普段だと、印象に残った人のことは、この人はどんな人生を送っているのだろうと、いろいろと想像をめぐらせて楽しんだりしているのだが、このときはなんとなくこれ以上考えるのはやめようと思ったのだった。「You too」と言えばよかったなとしばらく後悔した。

ニューヨーク旅行 -食住-

旅行中楽しみだったのが、食べること。ニューヨークには世界中のおいしいものがたくさん集まっているに違いないと、期待は高まる。都会は一人でご飯を食べるのが苦にならないところがいい。サンディエゴなんかだと、レストランに入って一人の人を見かけることがそもそも少ないし、ましてやディナータイムに女性一人など見たことがない。アメリカの片田舎在住でカップルじゃない方は、さぞかしたいへんだろうといつも思う。その点、アメリカよりも日本のほうが、一人の外食がしやすいような気がするが、いかが。
行ったのはこんな店。 → 行ったのはこんな店

この写真は、セントラルパーク近くにある『Good Enough to Eat』という店。週末は行列のできる人気店なのだ。平日の朝だというのに、外まで満席。
1週間の旅行中、3食外食ともなると、どこに行こうかいろいろ悩む。全く不案内なので、ニューヨーク在住の雅子さんからおいしい店情報をたくさん教えてもらい、ほぼその教えてもらった通りにレストランを選んだのだった。ここで食べたのは、レーズンとくるみたっぷりのフレンチトースト。添えられていたストロベリーバターがまた、お代わりしたくなるほどのおいしさなのだ。
絶品フレンチトースト。 → 絶品フレンチトースト

人気のあるおいしい店というのが、当たり前だが食べてみて本当においしいのでびっくりする。さすがニューヨークはレベルが高い。中でも一番おいしいと感心したのが、パンとイタリアンなのだ。と書くと、少なくともサンディエゴ在住者からはうらやましがられるに違いない。私の数少ない過去の経験から、アメリカで食べるパンやパスタにはいつもがっかりさせられてきたので、今回の旅行中は食べたものに感心することしきり
絶品ラビオリ。 → 絶品ラビオリ

これはチェルシーにある『Pepe Giallo』という店で、ここで食べた茄子とリコッタチーズのラビオリは超絶品だった。ラビオリってあまり好きな食べ物ではなかったのだが、こんなにおいしいものもあるのだなぁ。ミートソースもすばらしくまろやか。ワインも安くておいしい。
一人でも寂しくないよう毎晩しっかり飲んでいたが(←単に飲みたいだけ)、夜外を出歩くのが怖いので、いつも早めに帰っていた。というのも、泊まったところに理由がある。

ホテルは2箇所予約した。
1つ目はメトロポリタン美術館に近い、アッパーウエストのホテルで、セントラルパークを散歩がてら歩いて美術館へ行きたかったので選んだ。今回の旅行では、なるべく無駄な出費を避けて安上がりにしようと思ったので、ニューヨークにしてはとっても安いホテルを探したのだ。恐ろしく狭くて、たぶん今までに泊まったどのホテルよりも小さい部屋だった。ここは治安はよかったが、3階の部屋だというのに(もちろんエレベーターはない)、夜中に目がさめたら部屋に蟻の行列ができていてびびった。以後、食べ物は部屋に持ち込むまいと心に誓ったのだった。
2つ目はアパート型ホテルで、『あなたもニューヨーカーのように生活してみませんか』という釣り文句に、まんまと釣られて予約してしまった。ダウンタウンにあり、駅からはそう遠くはないのだが、もういかにも治安がよくなさそうな雰囲気の場所だった。地図を片手にたどり着いて眺めたその建物の第一印象は、ここは廃墟か?と思うようなアパートだったこと。しかし滞在型というだけあって、こんなところでも本当に長期滞在している住人もいるのだ。部屋もものすごく狭くて、たぶん清潔ではあるがどことなく汚い。何でも安いものには理由があるということだ。ここに比べれば最初のホテルなど、高級ホテルといえよう。さらに思えば、一番最初にヒューストンで泊まったしけたモーテルなどは、宮殿のごとしだ。
何よりたまに廊下ですれ違う、その長期滞在している住人たちが怖かった。一見して、薬の売人かポン引きのような雰囲気の方々で(←勝手な想像)、皆、辛い人生に翻弄され疲れきっているようなあきらめ感がにじみ出ている。怖いよー。もしかして私の人生の中で、人に殺されて死ぬような運命があるとしたら、ここで殺されるに違いないと恐怖を感じる。しかしこうしてブログなど更新しているということは、特に何もキケンな目になど合わずに無事に帰ってきたということだ。案外何とかなるものなのだ。楽しい旅行だった。

だらだらと書いてきたが、ニューヨーク旅行記はこれで終わり。長いエントリーを読んでいただきどうもありがとうございました。
チャイナタウンで食べた絶品鴨そば。 → 絶品鴨そば


教訓 : 都会で宿を選ぶときには注意が必要。