悪夢の原因
Jの趣味は保存食作りだ。これまでもジャムなどたくさん作ってきたが、今ブームなのがアンチョビを作ることだ。
この際だから、自家製アンチョビの作りかたを私も見学する。まずはカタクチイワシをきれいに洗って塩漬けにし、一ヶ月ほど冷蔵庫に入れて待つ。一ヵ月後、塩水の中からイワシを一匹ずつ取り出し軽く洗い、さばいて頭・内臓・ヒレ・皮など余分なものを取り除き、オリーブオイル漬けにする。という、簡単に説明してしまえば、しごく簡単なレシピである。ちなみに、塩漬けにする前に内臓を出すというレシピもあるそうなのだが、今回は内臓入りのまま塩漬けにしたそうだ。
地味で単調な作業に週末をついやす二人。互いにだんだんと無口になり黙々と作業を続けて、まるで蟹工船のようだ。こういうのきっとベテランのアンチョビ職人(?)だったら、ずっと短時間で済むのだろうが、素人なのでどうも時間がかかる。こ、腰が痛い。腕が痛い。包丁をにぎる手が震える。と、いろいろ老化現象も出始めた。
できあがった塩漬けカタクチイワシのオイル漬けが、アンチョビとして食卓に上がるのは、あとまだ1ヶ月近くかかるらしい。ほんとにできたのだろうか。手はすっかり生臭くなり、もう当分生魚など見たくもない気分だ。
塩漬け時に発生した、塩漬けイワシ発酵汁は、魚醤(ナンプラー)として使えるようなので、漉して冷蔵庫で保管。しかしこちらももう当分見たくないので、冷蔵庫の奥深く、見えないところにしまってみた。
あぁ長い話だった。そういうことなので、いずれにせよ直前にあったことに、非常に影響されやすいという、単純な人間だという結末なのであった。
最近では何か事件があったときに、加害者のブログがよく晒されていて、「犯人は事件前こんな精神状態でした」などと解説されたりしている。もし今後私が何か事件をおこしたときには、前回の人殺しエントリーが使われるのかもしれないと想像すると、何か別の言い訳を考えておかなくてはと、いらぬ心配をしたりして。あー恐ろしい。気をつけなくっちゃ(?)。