猫にごはん

 

 

 

 

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2006年11月 アーカイブ

2006年11月 4日

フィリピンを喰らう

これはイケル!と久しぶりに出会った好みの味。それはフィリピン料理だ。
日々チェックしている唯一の英語ブログ、『mmm-yoso!!!』で紹介されていた店だ。このブログ主のサンディエゴ在住の方は、いったいどんな仕事をされているのか知らないが、それはそれは守備範囲が広く、ありとあらゆるエスニックレストランを網羅している。この方は、日本レストランにもたまに行かれているようだが、注文も的確で辛口な評価をくだしているのがすばらしい。

ところでフィリピン料理だが、Zarlitos Family Restaurantという店で、あまり普段足を踏み入れることのない、National Cityという地区にある。夜行ったせいか、周りは薄暗く、ちょっと荒んでいて、あまり環境の良いところとは言えない。しかし、駐車場は車でいっぱい。年季の入った店構えからも、いかにも良さそうなレストランだという雰囲気がただよう。
注文したのは、次の5品。

Whole Crispy Pata(豚足まるごと一本分のフライ)
Kare Kare(牛テールと野菜の煮物)
鶏肉と野菜のスープ
エビのガーリックフライ
豚肉炒飯
白米
Pata(大胆にナイフが突き刺さっている)→猫にごはん

中でも私が特に気に入ったのは、この豚足で、よくもここまでカリカリ揚げたと驚くほどの外側の皮と、コラーゲンたっぷりのジューシーな肉がたまらない。まさに絶品。豚足には、さっぱりと醤油ベースのタレをつけて食べる。全メニューの中でこの豚足が一番高く、それでも15ドルだ。それ以外はどれも4~6ドルといった値段の安さだ。
周囲を見回すと、私たちを除いて全員がフィリピン人(と思われる)。家族連れで、山盛り白米を主食に、おかずを2品程度、飲み物は水という質素な感じ。おそらく3人でこれだけ注文した我々が、本日の一番豪華なテーブルであろう。

KareKare → 猫にごはん

この煮物はピーナッツの香りが高い、柔らかな味付けで、ピンク色のエビソースをつけて食べる。もわっとした甘い煮物と、塩辛いエビソースの組み合わせがまた、なんとも言えない絶妙さ加減。
テーブルに最初からセットされていた調味料は唯一、Jufranというバナナソースだ。ケチャップのバナナ味という感じで、何に使うのか分からないまま、私は炒飯につけて食べたが、また不思議によく合う。しかし自分で買って常備しておこうとまでは思わない、異国のソースなのであった。
4種類のソース。 → 猫にごはん

しまいには、エビソース、バナナソース、ピーナッツ、にんにく醤油などが取り皿の上でミックスされて、全体的に、いかにも南国の見知らぬ味わい深い夕飯となったのだった。一言でいうと、フィリピン料理はうまいっ!またぜひ来なくては。
マイルドな鶏スープ。 → 猫にごはん

デザートはHaloHalo(ハロハロ)という、カキ氷、バニラアイス、豆ペースト、ナタデココ、寒天、果物など、いろいろ混ざった甘いもの。ハロハロとは、タガログ語で混ぜこぜといった意味だそうだ。ベトナムデザートのチェーによく似ている。
エビと炒飯 → 猫にごはん

これだけ食べて、一人チップ込みで17ドル。安い。食べきれなかった私たちは、当然Doggie Bag(持ち帰り容器)をもらって、全部残りを持って帰ってきた。

アメリカで、今までどんな小汚いレストランでも、DoggieBagを置いてなかった店を見たことがない。みな、ほんのちょっとの残り物でも、汁物でも平気で持ち帰る。以前、生粋のアメリカ人とベトナム料理を食べに行ったときに、彼女はフォー(ベトナムのラーメン)の残りをなんと、持ち帰りするから、入れ物に入れてくれと頼んでいた。もちろん、店側も慣れたものだ。あの持ち帰ったフォー、あれからほんとに食べたのかなぁ...。
この持ち帰りシステム、もったいなくないし、とってもいいと思うのだけれど、日本で採用している店はどれくらいあるのだろうか。いつか帰国したあかつきには、ぜひともDoggieBagを頼んで、試してみなくてはね。

2006年11月 8日

次と前

どうでもいい話ですが、我が家で先ほどギロンになったので、それについて書きます。テーマは『次と前』。

例えばこの『猫にごはん』には、ページの一番下までいっても、何のボタンもありません。しかし、エキサイトブログなどをご覧になったことのある方はお分かりかと思いますが、エキサイトでは、一番下に『次のページ>』というのがあって、クリックして、それ以前のページを見ることができますね。それが、変だ!という人がいるのですよ。
つまり、変だという理由としては、時系列で日記というのが書き表されるものであるため、以前の日記は『次』ではなく『前』であるべきだと。
またまたエキサイトを例に取りますが、『次のページ>』で古い日付にさかのぼったあとは、今度はそのページの一番下にある、『<前のページ』というところをクリックできるようになります。この時点での前のページというのは、つまり新しい日付のページに行けるということ。前が最新で、次が古い。これは間違いではないかと。前(previous)は過去のことで、次(next)は新しいのが一般常識で、これでは混乱をまねくし、分かりにくいのだそうだ。

何でこんな話になったかというと、実は『今日の猫』(このページの右上の猫写真をクリックしてみてください)のデザインを今日ちょっと変えて、右向きのボタン(こんな感じの > )を付けたところ、上記のようなクレームが持ち上がったのです。この人が言うには、右向きのボタンをクリックすると、昨日の猫の写真に変わるのはおかしい、と。右向きの矢印はあくまでも未来へ向かい、左向きの矢印が過去に向かう。なので、右向きをクリックすると、明日の猫。左向きをクリックすると、昨日の猫、というのが正しい。
これに反論する私の言い分は次の通り。
今開けているページから、未知のページに行くのだから、右矢印でいいのだ。時系列がどう並んでいようが、見ている人にとっての進行方向(新しいページ)が右矢印、すなわち次、すなわちnextなのじゃー!ぐたぐた抜かすな、ごるらっ!
というものですが、みなさまいかがでしょ。いったいどちらが使いやすいのか?
試しにざっと調べたところ、エキサイトブログAOLダイアリーFC2ブログiSeeNYブログが、次のページ=過去(時系列なんてどうでもいいのじゃ感情論派)。gooブログyahooブログが、前のページ=過去(時系列はきっちりね融通の利かないがちがち派)。ということで圧倒的に、どうでもいいのじゃ派が勝利していると思われる。イメージ的には、女性対男性、猫派対犬派などの、どちらが勝ちともいえない議論のような気がするが。そういえば、日本の地下鉄で、次とか先とか表示された、分かりにくい行き先表示板があったような記憶があるが、あれは今でも使われているのだろうか。
流行語もそうだが、どんどん新しいものができて、広く使われ続けるうちに、そのうち辞書にも載るようになっていくのだ。これからは、次が過去。過去が右矢印。それでいいのです。ね、J。
矢印ボタンのせいで、『今日の猫』が見にくくなったというご意見がございましたら、どうぞ。直すかどうかは分かりませんけどね。えへへ(←強情者)。

2006年11月 9日

さらばレコード

うちの近くに、TowerRecordがある。大きなモールに入っている大きな店舗なのだが、駐車場の外れにあってどうも辺鄙なのと、いつ通りかかっても閑散とした寂しい雰囲気をかもしだしているため、一度も買ったことはなかった。しかし、このたびのタワーレコード(米国)倒産に伴い、閉店セールをやっているため、最終日の今日行ってみることにした。

タワーレコードといえば、かれこれ20年近く前、初めてアメリカに来たときに初めて入って、たいそうどきどきしたのを覚えている。そこはえらい活気のある店だった。しかし何が驚いたって、当時日本でさえあまり見かけなくなっていた、カセットテープの音楽がたくさん売られていたことだ。アメリカ人はカセットテープで音楽のアルバムを買うのか!とびっくりした。考えてみれば、車社会のアメリカで、当時カーステレオといったらカセットテープなのだったから、いちいち録音する手間が省けて便利だと人気があったに違いない。懐かしいね。
ほんの20年でカセットテープ→LP→CD→ダウンロードと変化しているのだ。いまどきタワーレコードなど倒産してしかるべしだと、絶滅し、死に絶えてゆく恐竜を惜しむ気持ちで、足を踏み入れたこの日のタワーレコード。
それはそれは、混雑していたのだった!
ま、閉店セール中だから当たり前か。いつもこれくらいお客さんがいたら潰れなかっただろうに。久しぶりだなぁ、レコード屋。全品30%以上の値引きなので、今日は買う気満々。
特に目当てのものがなくてレコード屋にくると、選ぶのに手間取る。どこに何があるのか?きょろきょろしてみると、Latinoのコーナーにはいかにもメキシコ人ばかりいるし、ラップのコーナーには帽子をかぶってだぶだぶのシャツを着たラッパーがたむろっている。なんて分かりやすい。
Worldのコーナーは、ヨーロッパ各国からアジアまでたくさんある。試しに日本の棚を見てみると、たったの2枚しかなくて、ジャケットは芸者だし、入っている曲は民謡みたいな聞いたこともない曲ばかりのアルバムだった。ひどすぎる。
しかし、うろうろとRock&Popsのコーナーの『P』をながめていうちに、見つけた日本人ミュージシャン。じゃーん。
ぱぱぱぱ、ぱふぃー → 猫にごはん 

『PUFFY AMIYUMI』!日本コーナーに分類されていないなんて、さすがだ。もしかしたら、本当にアメリカで売れているのかこの人たち?
そして、迷った末に選んだCDは、私が『Omara Portuondo』(キューバ)と『Sly & Robbie』(レゲエ)、Jが『Corrs』(アイリッシュ)。なぜアメリカにいるのにアメリカ音楽を買わない!とセルフツッコミしてみる。ぶらぶら歩いて、CDを眺めるのはそういえば楽しいものなのだった。ジャケ買いもできるしね。今更ながらこういう店がなくなるのは寂しいものだ。さらばタワーレコード。
おみやげこれだけ? → 猫にごはん

2006年11月12日

BBQと目ばちこ

ビーチでBBQ大会があると聞きつけて、散歩がてら見学に行ってみる。大会って言ったって、どうせただ焼くだけだろ、と思っていたが、ところがどっこい。みんな大マジメ。いやもちろん肉を焼くだけなのだが、焼き加減、スモーク加減など大きな違いがある(と思われる)。何もここまでというほどの大げさなBBQグリルを各チーム装備して、おそろいのTシャツでばっちり決めている。中にはこんなトレーラーまで(『All Hogs Go to Heaven』)。これが個人の持ち物なのだからすごい。
豚さんはみんな天国へ → 猫にごはん

本格的すぎるグリル → 猫にごはん

大会の主催は、California BBQ Association。お祭りっぽいのんきな雰囲気漂う中、審査員の方たちは真剣にBBQを召し上がってらっしゃる。そんなにBBQに違いがあるのか。トロフィーもたくさん用意されていて、たくさんの分野に分かれている様子。牛肉、豚肉、鶏肉、うーんあとは何だ。思いつかん。どう見ても参加チーム数よりも、トロフィーのほうがたくさんあるのが不思議だ。
アメリカ人は本当にBBQが大好き。
真剣に審査中 → 猫にごはん

BBQグリル型のトロフィー → 猫にごはん


ところで今朝起きたら、急にノアの片目(左)が腫れていた。昨晩までは何でもなかったのにね。いったい君は夜中に何をしていたのだ?痛々しいねぇ。
目ばちこノア → 猫にごはん

2006年11月17日

勢いの悪い血管

私は注射が嫌いではない。特に血を抜くとき。針が血管にささったとたんに、びゅーっと鮮やかな血が注射器に勢いよく流れ込む様子を見るのが好きだ。あぁ今日も健康で血がたくさんあるんだわ、と実感できる。
なので、一度はアメリカでやってみたかった献血に行ってみることにした。日本でも献血は好きで何度かやっているのだが、昨年一時帰国した際に献血センターに行ったら、外国に住んでいた人は一定期間(一ヶ月)置かないと献血はできないと言われ、泣く泣くあきらめたのだった。
サンディエゴの血液バンク(San Diego Blood Bank)をネットで調べたところ、うちのすぐ近くのモールに、バンがやってくることが分かった。しかもネットで事前に予約をしろと書いてある。指示通り時間指定で予約を入れると、ちゃんと2日前に、予約確認のメールもくるし、電話で連絡もあった。丁寧だね。
写真付きIDを提示し、質問書に記入する。実はこの質問書、以前知人(日本人)がその中に分からない単語があったため献血を断られたという噂を耳にしていたので、ネットで念入りに単語を調べて完璧な状態にしておいたのだった。おかげでスムースにことは運ぶ。

バンの中には小さな個室が2つあって、そこで血圧をはかったり問診したりの献血前チェックをする。日本の献血と違い面白かったのが、個室の中で最後にやらされたこと。バーコード2つを渡され、自分の血液を寄付する場合は、こちら。しない場合は、もう一方のバーコードを、申込書に自分で貼れという。何でそんなことをするのか聞いたところ、誰にも知られずにこの個室で、『やっぱり血液を寄付しない』という最終選択の機会を与えるためだという。例えば友達同士、会社の同僚仲間などでみんなで献血に来たが、実は自分はAIDSにかかっていて寄付ができないとする。そのときにここで、最後の選択をし、いかにも献血をしたようなふりができるためなのだそうな。説明してくれた韓国人看護婦に、寄付しない方のバーコード貼った人見たことある?と聞いたら、ないと言っていたが、バーコードなので一般の人にはどちらのシールか全然分からないようになっているのだ。至れり尽せり。
バンの中には看護婦や医者が5~6人いて、「日本人はめずらしい」と看護婦二人に言われた。アジア人はあまり献血をしないし、特にアジア人男性は針を怖がるから少ないのだと。ちゃんと行きましょうね、アジア人男性たちよ。
しかし残念なことに、実は私はこの日献血ができなかったのだった。最初に左手に注射をしたところ、刺したところがだんだん腫れてきたから、と中止。次に右手にしたところ、血の勢いが断続的でよくないので、またまた中止。こんな理由で断られたこと、今まで一度もないのに。密かに、自分は血管の流れが良いほうだと思い込んでいたのに(←根拠はない)、なぜだ。2回も注射しておいてひどい。しくしく。
血を抜いた後は、ジュースとドーナツをもらっておしまい。見たらバンの中は、平日の昼間だというのに、いかにも体格の良い白人男性ばかりだった。確かにみなさん、私よりも血の勢いがよさそうだ。あー残念。しかし今日は知らない単語をたくさん覚えたな。
献血のバン → 111706_2.jpg

2006年11月22日

新しい黒猫グッズ

うちの猫たちはよく水を飲む。水は3箇所置いてあるが、なぜか2匹とも寝室の水が一番気に入っているようで、そこの水ばかり飲む。しかし寝室の水入れは、人間のベッドの足元という、極めて安定の悪い場所にあるので、いろいろと不都合なことが多いのだ。
なぜそこが安定の悪い場所かというと、うちは不思議なことに、夜中のうちに布団が180度回転していたりすることが多々あるのだ。ポルターガイストか?自慢じゃないがたいへん寝相の良い私は、隣の激しい布団の動きに必死で抵抗するのだが、その甲斐むなしく、先日など朝起きてみると、布団が上下だけでなく、とうとう裏表逆に180度回転していた。なんでこんなことになるのだ。
ま、それはいいとして、激しく布団が動くと、当然水もこぼれるし、布団も入るし、ごみも入る。もういい加減にレイアウト変更しようと思い立ち、寝室の模様替えをした。水入れは私の枕の近くに移動したので、もう安心。猫たちもこれで心置きなく水が飲めよう。ついでに新しく水の入れ物も買った。それがこれ。
なんかついてるわ。 → 猫にごはん

水が好きな猫たちのため、たっぷり入るよう深い器を選んだ。しかも黒猫付き。というよりも、黒猫がついてると、なぜだかいつも財布の紐がゆるんでしまうのだなぁ(←他人事かよ)。
た、食べにくっ。 → 猫にごはん

餌入れでもいいかもと、試しにドライフードを入れてみたが、やっぱり深すぎてこんなに顔がうもれて、とても食べにくそうだ。それでもがんばる、いじらしいノアよ。やっぱり水用にしましょ。
Amazon.comから送られてきたダンボールは、猫用器だけだというのに、猫が入れるほど大きかったのでびっくりしたが、いくらなんでもこんなに大きくなくてもいいのに。いつも思うのだが、アマゾンはもうちょっと適当な大きさのダンボールがないものか。
大きすぎじゃないの? → 猫にごはん

新し物好きなノアは、水を入れた途端にごくごくとよく飲む。たくさんお飲み。
いっぱい水が入っていいね。 → 猫にごはん

2006年11月24日

魔のブラックフライデー

感謝祭の翌日は、いわゆるブラックフライデーだ。アメリカではこの日、一年で一番大きなセールが開催される。なぜブラックフライデーと呼ばれるかというと、クリスマス商戦が始まるこの日、多くの小売店がその年初めて黒字に転ずる日を指すからだそうである。
ブラックフライデーの日に限っては、通常ではありえないほど早朝から店が開く。なかには日付が代わった0時ちょうどからスタートする店もあるのだそうだ。もちろん徹夜で行列に並ぶ人もたくさんいる。それほどすごいセールなのだ。
私はもちろんそんな気力はないので、テレビのニュースでへ~と眺めているだけだ。しかし、当日の朝になって、仕事の開始時間が遅くなり時間のあまったJが、急に行ってみたいと言い出す。めざす店は、『Fry's』。ここは大型電気店で、コンピューター用品などの品揃えに優れているため、我が家では御用達だ。ネットで広告をチェックしたところ、確かにこの日だけは半端じゃないほどの値引き。とても朝一とはいえない遅い時間ではあるが、せっかくだから行ってみるか。
店の駐車場は広大だが、決して停めることはできまい。最初からあきらめて隣のモールに車を置こうとめざすが、もうそもそも、Fry'sの1キロ付近から渋滞が始まっている。聞きしに勝る混みようだ。駐車場はまさに車でびっしりで、なにやら殺気立っている感じ。そこかしこでクラクションは鳴るし、運転席から降りて揉め事を起こしているドライバーまでいる。
激しい行列。 → 猫にごはん

目的のものはとりあえずこの3つ。
1.ウェブカメラ5ドル
2.スキャナ付きプリンター17ドル
3.2GBのUSBメモリ4ドル

なんて安さだ。この店のセールのいいところは、物がたくさんあることだ。限定10個などとケチなことはない。しかしもちろん売り切れも続出していることだろう。アメリカでは普通、広告の品物が売り切れていた場合、店の人に申し出ると、『rain check』という券をもらうことができる。それは、後でもらえる権利券というやつで、後日その品物が入荷された場合、広告と同じ値段で買うことができるという至極便利な制度なのだ。私は一度スーパーで、安売りのターキーサンドイッチが売り切れていたので、レインチェックをくれと頼んでいたおばあさんを見たことがある。こんなものでも、もちろん券はもらえるのだ。しかしながら、このブラックフライデーに限っては、『No rain check!』と大書きされている。勝負は厳しい。
店の中は外と同様激しくごったがえしている。店内をうねうねと何やら行列ができているのだ。これはまさか、レジに並ぶ人々?最後尾はどこかと尋ねると、Ooooooover there!だと指差す店員。それは広大なこの店のはるか地平線のかなたにかすむほど、遠ーーーーーい。ここが行列のスタートだと、目印の風船を持った店員によると、50分待ちだろうと、くたびれ果てたような顔でにこりともせずに応える。この人は今日一日、朝5時から風船を持って行列の最後尾に立っていることが仕事なのだ。この時点で買う気力はかなり失せる。
おまけに目的の品の、2は見つかったが、1はすでに棚にはない。いちおうプリンターを抱えて並んではみたものの、どちらともなく止めようか?と相談はまとまり、体力も気力もない私たちは、すぐに列をあきらめることにしたのだった。
ところでアメリカ人は、品物を棚に戻したりはしない。私たち同様、途中であきらめたと思われる人たちの選んだ品々が、そこら中に放置されているのだ。たとえば、冷蔵庫コーナーに、パソコンのモニターが放置されていたり、プラズマテレビが思いがけない通路に落ちていたりすることなどざらだ。私たちが見捨てたのと同じプリンターも、出口までの間に、4つは放置されていた。そしてこういう、見捨てられた品を狙う客や、専用の片付け係りまでもいる。みんなご苦労なことだ。
おそらくこの店は今日のこの日、サンディエゴ一混雑していたことだろう。そしてもう決して、決して、ブラックフライデーには行くものかっ!

2006年11月25日

ミラーボールのまわる夜

サンディエゴでボウリングをするのは、これで4~5回目になるのだけれど、夜だというのにいつもながら混んでいる。ボウリングはアメリカでも人気があるのだ。
アメリカでボウリングをやるときに困ることは、なかなか自分の指に合うボールを見つけるのが難しいことだ。なぜならいらなくなったマイボールを寄付する(置き去りにする?)人が多いのか、誰かの名前が書いてあったりするボールがたくさんあり、それらは、その人の指の大きさに合わせてオリジナルで作られているため、他の人には使えなかったりする。こんな手の人が存在するものかとびっくりするほど、親指とその他2本の穴の位置が離れていたりするのだ。自分に合うのを探すのが一苦労。確かによくボウリングに来る人だったら、マイボールの一つも作りたくもなるだろう。
一緒に行ったのはマルコさんたち。この日のメンバーは4人だったが、なかなかいいボールが見つからず、4人で2個のボールを使いまわすという省エネ使用となったのだった。それに比べて、隣のメキシコ人一家といったら、5人で10個近くのボールを使っていただろうか(おまけに帰るときも片付けないし)。
私たちのレーンの両隣は、それはそれはにぎやかなグループで、いやもう激しいのなんのって。投げるたびに、「ジョーアンナ!ジョーアンナ!ジョーアンナ!」などとにぎやかな応援の手拍子足拍子。喜怒哀楽の豊かなメキシカンの方々は、投げ終わった後も、床に倒れこんだり抱き合ったりと情熱的なリアクションが続く。楽しそうでいいね。でもお願いですから、後ろにボールを投げるのは止めましょうね。
そして何より、この奇妙なレーン。
柵付きレーン。 → 猫にごはん

ガータ防止用に両脇に柵を立てているではないか。このボウリング場では、こういうオプションができるらしい。柵が立っているから、どんなに激しく投げてもガータにならない。そのため、もうエアホッケーの如く、わざと激しく両脇に当てて、角度を利用して投げたりしているので、隣のこちらのレーンにボールが飛び越えて来やしないかと、はらはらする。
こんな周囲の環境にもかかわらず、私たち日本人グループは、スコア150~180というレベルの高い争いとなった(私をのぞく。しかし私も久々に100は超えた。えへへ)。おそらく投げ方もマナーも、このボウリング場で最も大人しく正統派だったに違いない。よそのグループの分まで後片付けをするところなんざ、さすがは礼儀正しい日本人(←自画自賛)。
夜遅くなると、天井の電気は一斉に消え、きらきらと回転するミラーボールの明かりだけとなった。たいへん投げにくい。何かの間違いかと思い、電気が戻るのを待つが、ムーディーな暗闇の中、サンディエゴのボウリング場の夜はこのままふけていくのだった。
真っ暗なレーン。 → 猫にごはん

ところでボウリングの待ち時間(実は1時間待ちだった)、隣接するゲームセンターで遊ぶ。9割方、時代遅れの日本製のゲーム機が並ぶ中、私たちがやったのは『ダンスダンスレボリューション』。初めてだったので、レベルの程度はお話にならないが、汗もかくしかなりの運動量だ。こういうゲームをアメリカでやっても全然恥ずかしくないところがよい。聞いたことのないディスコっぽい日本の曲がたくさん入っていた。ゲームも案内も日本語でしか表示されていないが、アメリカ人はやり方分かるのしらと心配になる。
靴を脱ぐところが日本人らしい。 → 猫にごはん

2006年11月28日

放置プレイ

家の中にあるはずなのに、ものをしょっちゅう無くしてしまう経験のある方、たくさんいるのではありませんか。我が家がそうです。猫のおもちゃは数限りなく、そこらに放置しておいたはずのピアスの片方だけ、靴下の片方、ボールペン、ポストイット、クリップ、使おうと思ったときにはどうして見つからなかったりする。それらがどこへ行ってしまったのか、私はこの本を読んでたいへん納得した。そうか。うちには猫がいるにもかかわらず、Borrowers(借りる人々)たちがいるに違いない。だったら、もう無くし物をしても、いちいち目くじら立てることはしまい。それらはきっと、どこかで誰かの役に立っているはず。もうおもちゃを無くしても、責めたりしないからねソフィー。

The Borrowers最近読んだこの本は、Mary Nortonの『The Borrowers』。
表紙を見たときから気に入っていたのだけれど、中を読んでみてさらに納得。ものすごくかわいらしい話なのです。なぜ今までこの方の本を読んだことなかったんだろうなぁ。まさに児童文学の名作。英語だとBorrowersだが、日本語だとこの本は『床下の小人たち』と訳されている。なんでもかんでも当たり前のように、人間から物を借りていく人たちの話。
図書館で借りてきたこの本は、オリジナルなのかどうかは分からないが、Beth and Joe Krushという方のイラストで、もうどの絵もかわいいのなんのって。Borrowers一家の部屋の間取りや夕飯の絵など、見ているだけで幸せになれるような、微に入り細に入った丁寧なイラストなのだ。あーかわいい。
英語の本は読むのも遅いし、そもそもあまり読まない。しかし、こういう本は別。1953年に書かれたイギリスの本なので、私にとってあまり読みやすい英語ではなかったが、すらすらとは言わないまでも、一気に読んでしまった。だいたい日本語で読んでも面白いと思えるような本でない限り、英語で読んではかどるはずがない。これは途中で読み終わるのがもったいないくらいの気持ちになった。

私はこういう気に入った本を読んでいるとき、数ページ残してわざと2~3日読まないで放置プレイをしたりすることがある。時には1週間空けてみたり、途中で違う本を読んでみたりもする。最後まで読んで終わってしまうのが残念だからね(貧乏性?)。そんな私を見ると、Jは、早く読まないと見てて気持ち悪いから今から寝ずに読め、と命令したりする。そういうJは、気に入った本は徹夜をしてでもその日のうちに全部読んでしまうタイプなのだ。なんてもったいない読み方だ。
このBorrowersシリーズは、全部で8冊あるようです。早く次を借りてこなくてはね。