モンゴルBBQ
メキシコとの国境の町San Ysidroの大きなアウトレットがある。あまり買物に興味がないので、メキシコへは何度も遊びに行きながら、ここはいつも素通りしていたが、たまには服でも買おうではないかと、出かけることにした。
だいたい日本でも買物など好きではなかったが、アメリカのモールはどこも巨大過ぎて、店に入ることを考えただけでも疲れてしまう。ましてや巨大な店がたくさん集まるアウトレットなどもってのほか。思いたったはいいが、どんなに疲労するかは容易に想像がつく。アウトレットに着くと、まずできるだけ店の近くに駐車場を確保し、地図を見て、行きたい店の最短距離を探す。目当ての店など2~3軒しかないのだが、途中で休憩するフードコートの場所までしっかり覚えて、いざ出陣。
ここは広々して気持ちのいいアウトレットだ。人も少ない。メキシコ人率は80%くらい。Gパン、シャツ、夏物セーターなど手早く買物を済ませた後、目当てのフードコートへ。きっとタコスがあるに違いないと思ったが、意外にアジア料理とアメリカ料理しかない。中で一番目立っていた、モンゴル料理の店に入る。モンゴルBBQといっても、かなりアメリカ向けにモディファイされているように見える。
これでも普通の盛り付け。 →
丼程度の大きさのボールに、肉、野菜など好きなものを自分で入れ、最後にソフト麺のような黄色い麺を乗せる。その乗せ方がまたすごい。先人たちの様子を見ていると、もうこれでもかというほど山盛り。それは盛りすぎでちょっと恥ずかしくはないだろうかと、傍目で心配になるほどじゃんじゃん盛る。こぼれてもへっちゃらだ。うーん、すごい。そこでこちらも同じように山盛りに麺を乗せる。更にたれや調味料を指定し、全部まとめて、店の人が巨大な鉄板で焼いてくれるのだ。見た目焼きうどんだ。ほんとにモンゴル料理なのか?
カメラ目線のモンゴル人(たぶん)店員。 →
食べてみると、意外や意外。おいしいではないか。それにしてもすごい大盛の焼きうどん。よかった二人で1つにしておいて。しかし周囲を見回してみると、メキシコ人の若い女の子も、家族連れも、みな一人1つ食べている。すごい人たちだ。
見た目も味も焼きうどん。スープはなぜか味噌汁。 →
買物を終えてふと見ると、アウトレットのすぐ向こうに黒いフェンスが広がる。高さ10メートルくらいはあるだろうか。これが国境だ。国境の向こう側には、崖っぷちにまで小さな家がひしめき、人がたくさんいる様子が分かる。それに比べて、アメリカ側は広々とした空き地にぽつんとアウトレットや駐車場があるだけで、人家など見渡す限りない。こちら側でブランド物を買っているのは豊かなメキシコ人たちで、向こう側には物乞いをするメキシコ人たちがいる。向こうからはこの黒いフェンスがどのように見えるのだろうかと、しばし物思いにふける。
国境の黒いフェンス。 →