ニューヨーク旅行 -美術館-

ニューヨークに行ってしたかったことの第一は、メトロポリタン美術館へ行くこと。ここは前回来たときにも半日費やしたのだが、いかにも全然時間が足りなかったのだ。今回は下調べも充分に、3日間をゆっくりメトロポリタンで過ごすことにしたのだった。あー贅沢だ。
1日目は、気の向くままにぶらぶら館内を歩く。2日目は、アジア部門、ギリシア・エジプト部門、彫刻、モダンアートその他を軽く見学。そして最後の3日目。オーディオセット(作品案内が流れる)をレンタルし、案内書を片手に、一番見たかったヨーロッパ古典絵画を中心に、一つ一つ心ゆくまで時間をかけて鑑賞する。絵画があるたいていの大きい部屋の中心には、ベンチやソファが用意されている。そこで好きなだけ休憩しながら、何度も行きつ戻りつしながら、隅々まで歩く。こういうとき、時間や連れの人を気にしなくていいところが、一人旅のいいところだ。古典絵画だけで6時間かけた。幸せ。
その他回った美術館は、クロイスターズ(メトロポリタン別館、The Cloisters)、フリック・コレクショングッゲンハイム美術館MoMA
クロイスターズは、大金持ちのロックフェラー家が寄贈した美術館で、マンハッタンの北端に位置する。ヨーロッパの古い教会などを、そのまま丸ごと船で運んできて移築したもので、その建物から見える景色も永遠に損なわれないよう、丘や対岸の土地も全てロックフェラー家で買い切ってしまったとのこと。確かにどこか高原の湖にでも来たような、マンハッタンとは思えないような光景が広がっている。ヨーロッパに行ったことのない私は、本物の古い古い西洋建築をここで初めて見た。アメリカにあるヨーロッパ風の古い建造物とは全然違う。そしてこの中にある彫刻や十字架やタペストリーの、なんとしっくり雰囲気に合っていること。大雨の中、わざわざ来た甲斐があるというものだ。
キュクサの回廊(クロイスターズ) → キュクサの回廊

ところでこの日の大雨は、私がこれまでの人生で経験したことのないほどどしゃぶりだった。傘などあってもなくても、とことんびしょ濡れになってしまうひどい雨で、傘やレインコートを身に着けている人でも、雨宿りが必要なほどなのだった。ちなみにタイムズスクエアの街角で3ドルで買った安物折りたたみ傘は、雨漏りがするし(どんな傘だ)、すぐに折りたためなくなってしまったし、しまいには文字通りばらばらに分解してしまい、3日間で捨てるはめになった。さすがは安物だ。

フリック・コレクションは、これまた大金持ちのヘンリー・フリック氏の個人的コレクションを、元邸宅をそのままつかって一般公開している美術館だ。ヨーロッパ絵画を中心に、小さいながらも充実した品揃え。個人所有の絵画だからどういう形で公開しようと、全くもってご本人の勝手なのだが、できれば目と鼻の先にあるメトロポリタン美術館に全部寄贈して、画家や年代別に一緒に並べて公開してくれたらいいのにと思う。この美術館にはフェルメールが3点ある。おまけにここは写真も一切禁止(メトロポリタンなどでは、ストロボをたかなければ写真を撮ってもOKである)。そして亡き氏の遺言により、ここにある作品は、他美術館には貸し出しは一切しないそうだから、世界のどこかで〇〇展が開催されても、ここの絵は見ることはできない。興味のある絵があったら、ぜひ訪れて見ましょう。
ペルセウスとメドゥーサの頭(メトロポリタン) → ペルセウスとメドゥーサの頭

ところで、メトロポリタン美術館にあるゴッホの自画像は、裏側に別の絵が描かれているので、両方が見えるよう部屋の中央に置かれている。そこでは入れ替わり立ち代り見学者がやって来て、その自画像の横に顔を近づけて絵と並んで記念写真を撮っていく。何でゴッホの絵と一緒に写真など撮りたいのだろうと不思議に思うのだが、ちょうど高さも並んで立てる位置にあるせいか、国籍問わず老若男女が写真を撮っている。目の前のソファに座っていたら、シャッターを押してくれと2組に頼まれた。この人たちの旅のアルバムの片隅に、ゴッホと並んで満面の笑みでVサインするこの1枚が収まるかと思うと、ゴッホが当時夢にも思わなかったであろう不思議な世界の繋がりに思いは遠く馳せるのであった。

6件のフィードバック

  1. うぅ、ぜひぜひ行ってみたい~!!

    私のあの、怯えているうちに過ぎて行った3日間はなんだったのでしょう(><)
    怖いという理由のみで、大枚(インドで10日間過ごしたコストよりも高かったかも)はたいて5番街のホテルをとり、
    その周辺をうろうろして終わってしまった…。

    noirさん、なんと充実したご旅行!!
    うらやましいです!
    他では見られないフェルメール…。
    お金持ちはすごいなぁ!

  2. ステキぃ〜〜〜〜!!!!
    3日は必要ですよ、ほわ〜ッとしてたいですよ、こんな素敵な場所なら。

    昔、みんなのうたでありましたよねえ。
    メトロポリタンミュ〜ジアム♪

    最後の写真・・・・・・・いや〜ん、noirさんったら〜〜〜!!

  3. いいねえー^^。おっしゃるように、こういう旅行が一番贅沢♪
    大きい美術館も豪勢で好きですが、こじんまりした個人の美術館(アメリカのはでかいけど^^;)、回って歩くのも好きだったりします。
    1枚目の写真、深い緑と日陰がほっ、とするなぁ。やっぱ、いいなぁ、NY。どの美術館が一番気に入った?

  4. >モモねこさん
    おー、五番街の辺りで泊まられたホテルというと、かなり
    高級だったろうとお察しいたします。NYのホテルって
    高いですものねぇぇぇぇ。そのくせたいして広さはないし。
    ほんと都会値段ですよねぇ(嘆)。
    アメリカのお金持ちというのは半端じゃないなぁと
    思います。日本でなかなかこんなことできる人いないです
    ものね。大原美術館くらいか?そういえば、バブル時期に
    日本人が買い漁ったといわれる絵画は今いずこにあるので
    しょうね。できれば貴重な古い絵画は、まとめて美術館
    に全部置いておいて欲しいものですよね^^;

    >うさをさん
    すごい!その歌ご存知でしたのね。
    大貫妙子さんのですよね?一度聞いてみたくてたまらな
    いのですよ。歌詞的には、『猫にごはん』の右側の
    最近読んだ本の中にある子供向け小説(日本名:クロー
    ディアの秘密)からとった歌だと聞きました。
    さすがうさをさんだわ。歌のことに強い!
    最後の写真、いいでしょ(笑)。これとっても迫力の彫刻
    でございました~。

    >koruさん
    ほんと、アメリカの美術館って小さい規模とはいいながら
    でっかすぎて、歩き回るだけでへとへとになって
    しまいます^^;
    一枚目の写真のが、ヨーロッパの建築物そのままので
    ロックフェラーさんちで別荘に使用されてたそうですよん。
    お金持ちは違いますわねぇ。
    メトロポリタン本館以外では、このクロイスターズが
    お勧めです♪都会の喧騒に一息つく、とっても雰囲気の
    よいところでございました。

  5. >うさをさん!
    おーーーーーー!
    これこれこれこれ!!!!
    聴いてみたかったのよ~。さすがだわ、うさをさまっ。
    YouTubeすごい!
    うさをさん、小説もお読みになりました?なんだかこの歌
    と映像は、小説よりもちょっと怖い感じでしたが、
    面白い。へ~~~~~~。
    いやー、どうもありがとうございました~(^O^)

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