サンタフェはアメリカで最も古い歴史を持つ古都で、1607年に創設された。長年ネイティブアメリカンとスペイン人入植者との奪い合いが続いた土地で、今でもプエブロと呼ばれるプエブロ族の村と、芸術家が多く住む芸術と観光の街が近接して存在している。
街を歩いていると、インディアンそのままの血の濃いネイティブアメリカンたちや、いかにも芸術家風の白人をたくさん見かける。アジア人は皆無に近いほど見かけなかったが、観光シーズンではなかったからだろうか。
青い空に、土壁のアドビ造りの建物、そして真っ赤なチリが美しく映える。とてもきれいな街なのだ。
鮮やかなチリ。 →
サンタフェの中心部、プラザ周辺ではインディアンたちが露店を営む。ここは観光客でとてもにぎわっていた。みんなとても寒そうにしているが、このあと雪が降ってきたのだ。どうりで寒いと思った。しかし5月だというのに雪が降るなんて、山の天気は分からないものだ。
露店が並ぶプラザ。 →
サンタフェから車で2時間程度の場所にあるタオス・プエブロは、数あるプエブロの中でも最も有名な村だ。入場料とカメラ一台につき5ドルの撮影料を払い、プエブロの中に足を踏み入れてみる。土と木で何もかも作られている昔の家々は、あたりの景色にしっくりなじんでたいへん美しい。
タオス・プエブロ →
家の中はインディアン・ジュエリーや素朴なお土産物を売っている店として使われている。たぶん彼らの生活する家は別にあるのだろう。なぜなら、一軒のインディアン・ジュエリーの店のおばあさん(いかにもインディアンっぽかった)と話している途中、携帯電話が鳴ったのだった。聞くとはなしに聞いていると、「あとで車で迎えに来て。食事はレンジでチンして食べてね」という会話が聞こえたのだった。土壁の家で携帯電話が通じるということにも驚いたが、会話の内容に笑ってしまった。
このジュエリー製作と販売を営むインディアンのおばあさんは、お孫さんがカリフォルニアに住んでいて、よく遊びに行くのだと言っていた。なんとなく、この荒地で頑固に昔のままの生活様式で住み着いているインディアンを思い浮かべていたので、プエブロの外に行って普通にアメリカの生活もしていることが想像できなかったのだが、考えたら当たり前の話だ。
プエブロの教会 →
プエブロの中で売っているインディアン・ジュエリーは、思ったよりもずっと安い。街中のお土産物屋さんで売っているものよりも、素朴でシンプルなのがよいし、何よりここで使うお金は、間違いなく直接インディアンの人たちに渡るのだと分かるところがよい。
ここでは、このおばあさんが作った、太陽神(Sun God)のシルバーのネックレスと、シルバーのドリーム・キャッチャー型のピアスを購入。Sun Godはプエブロ族にとってたいへん重要な神様なのだそうだ。ありがとう。大事に使うね。
犬も暑さでぐったり →
サンタフェからアルバカーキへ向かう途中の山の中にも、小さな村がある。山の中に突如出現する芸術家の村。それまでずっときれいに舗装された道だったというのに、ここだけ舗装もなしで土のまま。絵画やオブジェ、アンティークやヒーリンググッズなど、立ち並ぶお土産の店もいかにもなアーティスト風。
ここで私たちはカフェに寄ったのだが、働く人もまるでヒッピーのようないでたち。トイレも水洗ではないというのに、コーヒー豆はオーガニック使用というこだわりが、たいへん納得がいく。きっとみんな本当に昔はヒッピーだったのだろう。今でも何かに反抗し続けているのだろうかと、つい想像たくましくしてしまう。村の名前はMadrid。昔は鉱山で栄えた町だったそうだ。こだわりのケーキとコーヒーはなかなかおいしかった。
このように、白人とインディアンが混在して構成されているサンタフェ周辺は、見所満載であった。スキー場も近くにたくさんある。いつかここで、1週間くらいのんびりB&Bに滞在しながら、ゆっくりスキーをやるという、優雅な休日を過ごしたいものだ。
サンタフェはオキーフの作品でも有名 →