おっさんと観光
知り合いSがうちに来た。Sは東京で働いていた頃の元上司だ。私は2回転職経験があり、計3社で働いていたことがあるが、そのうちの2社で上司だった人だ。だからといって別に特に恩があるわけでも、特別親しかったわけでもない。しかし、何となく縁があり、この人のことはよく思い出すことがある。たいへんマイペースな、しかしおっちょこちょいな所がある、なんとなく憎めない人なのだ。今回、彼はアメリカ出張のついでに遊びに来た。
そんな人とサンディエゴで会うなんてとっても不思議だ。違和感ありあり。思えば遠くまで来たものだと我ながら感慨深くなる。今日はラホヤの海を案内し、メキシコに遊びに行き、うちで一緒にビールを飲む。あぁ、なんて、なんてヘンなのだろう。東京のサラリーマンの香りをむんむん漂わせたこのおっさんと、サンディエゴを観光するのは異質以外の何ものでもない。だいたい、Sとはプライベートで会ったことなど一度もなく、多々一緒に飲みはしたが、仕事帰りに一杯飲み屋で大勢で飲んだことがあるだけなのだ。
怪しいおっさんと海岸。 →
海岸を一緒に歩いていても違和感は増すばかり。メキシコに行ってみたいというSのために、Jと3人で国境越えをする。国境近くのいつも行くホセ兄弟の立ち食いタコス屋でタコスを食べ、コロナビールを飲む。久しぶりに聞く日本の元同僚の話や会社の話はとても楽しかったが、また何かとても不思議な感じがしてならないのだ。あぁ、なぜこのおっさんとこんなところで日本の話を…。ふと我に返ると違和感で笑いたくなる。
そういえば、この人は私の知人の中でも、最もよく食べ最もよく飲む人だ。日本にいた頃、たいへんな巨漢だと自他ともに認める人であった。しかし今日久しぶりに見たSは、なんだかとても普通だったので驚いた。単にSが年をとって縮んだのか、それとも私がアメリカ人の巨漢に見慣れたためか、思いのほか普通サイズ、というか案外小柄なほどに見えたのだった。
怪しいおっさん国境越え。 →
ロサンゼルス近郊での1ヶ月の出張期間中、2週間目にして早くも日本食が恋しくなってしまったSのために、ご飯、味噌汁、梅干、厚焼き卵など素朴なごはんを出し、お土産におにぎりまで持たせてあげた。
夜がふけて送り出したSは、しかしそのあとたいへんな目にあっていたのだったが、そうとは知らず無事の帰宅を祈りつつ、私はすぐに寝てしまった。翌朝、興奮覚めやらぬ様子で電話をくれたが、実は車で帰る途中いろいろトラブルに巻き込まれていたのだった。
サンディエゴからロサンゼルスまでのハイウェイでは途中検問がある。それはメキシコからの不法移民を取り締まるための、国境警備隊の検問なのだが、それにまずSは捕まってしまった(普通はめったに捕まらない)。警備隊の一時停止警告に気付かず検問突破を図ろうとした疑いで捕まったSは、パスポート提出を命じられ、さんざん怪しまれた。たぶんこの人ももともとの怪しい風貌も疑惑を増したことと推測される。その後ハイウェイの出口を通り越してしまったSは、ハイウェイを降りてUターンしようとして気付いた。運転席側のサイドミラーが折りたたまれている。どうやら国境警備隊の尋問中に折りたたまれたらしい(もっと早く気付けよ)。人気のない小さなモールで、いったん’車を降り、ミラーを直したSはまたもや気付いた。ドアをロックしてしまった。そうインキーをしてしまったのだった。車はエンジンかかったまま。ドアは開かない。財布もメモも、何もかも車の中。助けを呼ぶこともできない。2時間後警備員に発見されたSはようやく鍵屋を呼んでもらい、なんとかホテルに帰り着くことができたのだそうだ。
なんてことだ。相変わらずだこの人は。Sよ、もう当分会うことはないだろうが、どうか元気で無事に日本まで帰っておくれ。
な、、なんだか、あたしも元上司を思い出してしまいました。
なんだかなあ。いまごろどうしているのかなあ。
いや、絶対にしりたいとか全く持って思っていないのですが
(4倍角強調)
接待(?!)お疲れ様でした。
おつかれが出ませんように。
年度末で死に物狂いな上に鼻かぜが治らないばかりか
花粉症合併症の疑いで検査せよとのお達しを受けている
はるか大阪の空の下から、お祈り申し上げております。
「おっさん」とS氏の事を呼び続けるそんなNOIRさんが好きです。日本のサラリーマンって何であんな特別なオーラがあるんだろうね。私も色々思い出してしまいました、、、、。哀愁。
ぷぷぷ。 Sさん、とんだ災難でしたね~~~。 そ、それにしても。。。サイドミラーを直す位で、ドア閉めますかね? ぷぷぷ。
「おっさん」その雰囲気解ります。日本のサラリーマンはおっさんなのです。が、noirさんの表現笑えてきます。
暖かいお持て成しにガイド役、お疲れ様でした。
で、なんでそのおっさんと連絡が付いたのかが興味有り、さぞかしJさんも????だったのでは?
もし、自分がnoirさんの立場だったら・・・と想像しました。
プライベートで会ったことのない元上司がサンディエゴのうちまで遊びに来て、
一緒に観光なんてして・・・。
noirさんの感じたその違和感に、すっごく共感できます(笑)。
noirさんの文章力、さすがです!
お邪魔します。
私も「おっさん」の一種です。思わずコメントせずに通り過ぎるに忍びない、エントリーです・・・。
でもね、S氏にしてみればね、とっても「嬉しかった」と思いますよ。ほんとに良いお話だと思いますね。お土産にもたせてもらったおにぎり、きっと涙と鼻水で、お塩ききすぎ状態だったと思いますよ。。。
一枚目の写真に写る怪しげなオジサンに大笑いしてしまいました。爆笑!
それにしても、分かるなぁ。僕もサンフランに知り合い(友人じゃなくて、「知り合い」)が来ることがありますが、結構違和感ありますよね。どう接していいのか戸惑ったりして・・・。でも、もし東京で働いていたときの上司が来たら、僕だったらばっくれるかな・・・、多分。その点、NOIRさんが偉いなぁ。
>momoさん
ぷぷぷっ。今ごろどうしてるか絶対に知りたくない元上司を
お持ちのmomoさん(←ながっ)、こんにちは(笑)。
花粉症たいへんですねぇ。毎年言われてるような気もしますが、
今年は花粉も例年以上だと聞きました。年度末のお忙しい
時期に、さぞかしお辛いことでしょう。はるか彼方のサンディ
エゴより、お見舞い申し上げます~。早くよくなってください♪
>ちきかよさん
ちきかよさんも、いろいろサラリーマンの思い出があるの
ね。ぷぷぷっ。何だかねぇ、私服でいても日本のサラリー
マンって分かるんですよねぇ。いえこの人もいい人なんです
けど….ぶつぶつ。(笑)
>雅子さん
かなりの災難ですよね~。そこまでやるかって感じ。
しかし無事に帰れてよかったですよー。悪運強しっ(笑)!
>Kalakaさん
おぉ、するどい指摘。さすが!
プライベートで付き合いがないとはいえ、年賀状のやり取り
は(数年前まで。笑)していたので、アメリカに来る際に
紙にメモしてきてたんですって。かわいいでしょ。そういう
ところがにくめない人なんですよねぇ。しかしもう当分
会うことはなかろう(爆)。
>マルコさん
ねー、想像するとものすごい違和感わくでしょ~。
ラホヤで一緒にアザラシを見たり、カフェでコーヒー飲んだ
りしながら、「私何やってんだろ…」ってずーっと頭の中
でハテナマークでしたよ~。でもそれはお互いだったみたい
で、向こうも不思議がってました(笑)。
>やぶ猫さん
あぁぁぁ、どうかお気を悪くなさらずに~(願)。おっさん
なんて言い方どうかとは思ったのですが、Sさんなら怒る
こともなかろうと思ってつい書いてしまいました~。
私、おっさん好きです。ほんと!(←フォローになってない?(笑)
おにぎり喜んでくれたでしょうかね。やぶ猫さんに、そう
言っていただいて、ちょっとうれしい♪
>matthewさん
気がつきました?1枚目の怪しい人(笑)。
サンフランシスコだったら、確かにここよりももっと
日本から遊びに来る人多いですものね。単なる『知り合い』
も…(笑)。
私がサンフランシスコに遊びに行ったら、ばっくれない
で(爆)、遊んでくださいね~~~♪
だはは~!(爆)おもしろすぎるな、このおっさん。
最初の写真をクリックしてびっくり。
こんなにおっきく写ってたのか。
てっきり豆粒ほどだと思ってさがそうとしたのに。
心霊写真みたいでこわいー。
>Kさん
わはは。確かに心霊写真みたいだ~。
これ当然のことながら、もっと真ん中に巨大におっさんが
写ってるのですが、さすがにヒンシュクかいそうなので
端をカットしました。そのままのほうが受けたかも(笑)。